玉木代表vs“ザイム真理教”「103万円の壁」「トリガー条項」どうなる?
大きいのは「106万円と130万円の壁」です。従業員が51人以上の職場なら年収106万円、50人以下なら130万円を超えると、原則的に健康保険や厚生年金などの社会保険料が発生し、給料から天引きされます。 いろんな条件があるので一概には言えませんが、例えば、夫の扶養に入っている40代の主婦が大きなスーパーで働いて年収106万円を超えると、月額およそ1万5000円の社会保険料が発生するので、年収120万円くらいまでは逆に手取りが減ることもあります。 もう一つ「150万円の壁」というのもあって、年収がこれを超えると配偶者特別控除が減額されていきます。ただ、この影響はそれほど大きくなく、やはり一番大きいのは「106万円と130万円の壁」です。今回、国民民主党が実現を目指す基礎控除の引き上げは、この社会保険料の壁に手を付けていないので、減税効果は見込めても、働き控えの解消はあまり期待できないと言われるのは、そういうわけです。 ■支持母体・連合の方針で手つかずの「壁」も ではなぜ今回、国民民主党は社会保険の壁に手を付けなかったのか。背景には連合の方針があるようです。ご存じの通り、連合は労働組合の中央組織で、立憲民主と国民民主の最大の支持母体でもあります。その連合は先月の中央執行委員会で、「第3号被保険者制度」の廃止を政府に提案することにしました。 3号は会社員や公務員などに扶養される配偶者が、年金保険料を納めなくても、老後の基礎年金を受給できる仕組みです。サラリーマン世帯の専業主婦も自分名義の年金を確保できるよう、1985年に導入されました。現在の対象は年収106万円または130万円未満の人たち。およそ760万人いるうちの98%が女性です。 導入当時、専業主婦と共働き世帯の割合は6対4でしたが、今は3対7で逆転しています。夫婦2人とも年金保険料を払っている人たちからすると、保険料を納めずに年金を受け取れるのには不公平感がありますし、先ほど言ったように、今はこの制度が「働き控え」の主な原因とされ、女性の働く意欲を妨げているという批判もあります。