玉木代表vs“ザイム真理教”「103万円の壁」「トリガー条項」どうなる?
とはいえ、財政再建を至上命題とする財務省の抵抗は強く、自民党も財務省を政策ブレーンとしていますから、落としどころを探っているのが現状です。早くも財務省側からは「抜本的な制度改正は、年度内には間に合わない」との声があり、当面は年末調整で相応の額を割り戻し、来年度中に財源問題も含めた制度設計をして、本格実施は再来年度にする案も浮上しています。 ■「178万円」の根拠は?働き控え解消も では、基礎控除引き上げのもう一つの目的は何か。それは「働き控え」の解消です。先ほど言ったように、年収103万円以下なら所得税がかからないので、パートなどの場合、これを超えないように勤務時間を調整することを「働き控え」と言います。 実際は103万円を超えても194万円台まで所得税率は5%なので、残り95%分は収入が増えるのですが、心理的な壁になっている面があります。また、企業の多くが扶養手当の支給基準を年収103万円以下にしている影響も大きく、特に学生アルバイトの場合、年収が103万円を超えると税制上も親の扶養を外れるので、親が年間63万円の特定扶養控除を受けられなくなるという弊害もあります。これらが「103万円の壁」です。 そもそも、国民民主が主張する基礎控除の引き上げ額「178万円」の根拠は、最低賃金の上昇です。103万円になったのは1995年ですが、その後、最低賃金の全国平均は611円から1055円へ、1.73倍に増えています。103万円の1.73倍は178万円という計算です。 つまり、95年当時なら103万円は年間およそ1700時間だったのが、今は1000時間足らず。働く側からすればいい話ですが、スーパーや飲食店などは人手不足で四苦八苦しています。「働き控え」の解消は、企業側からすると「労働力不足」の解消でもあるわけです。 ■ほかにもある「壁」…働き控えの原因 ただ、基礎控除の引き上げで解決するかというと、効果は限定的だというのが大方の見方です。というのも、働き控えの主な原因は、ほかにあるからです。