「旅行中も快適に過ごしたい欲望」と「観光DX」を考える
ベトナムのキャッシュレス事情
前述のモバイル決済サービス「MoMo」は、ベトナムの銀行口座と電話番号がないと利用できず、残念ながらQRコード決済の体験は叶いませんでした。意外なことに、ベトナムでは現金主義が根強いことがわかりました。ベトナムはカフェ文化が発達しており、街を少し歩くだけでたくさんのカフェに出会いますが、キャッシュオンリーの店もあり、入店を諦めることもありました。国として電子決済を普及させようという動きはあるようですが、個人商店などでは現金払いが依然として主流のようです。 観光地に限ったことかもしれませんが、スマートフォンで決済を行う人はあまり見かけず、唯一見かけたのはQRコード決済手段「VietQR(ベトQR)」を使用していた人、一人だけでした。調べてみると、VietQRはベトナム国家銀行「中央銀行」が定めた標準規格のようです。
ITを活用して旅を楽しもう
今回は、旅行中の移動にまつわる体験を主にお伝えしましたが、それ以外にも簡単にいくつかIT活用事例をご紹介します。 まず、日本でのパスポートの更新。私はオンライン対象外だったので、申請までに2時間以上もかかりました。次回はオンラインで更新したい所存です。オフラインで更新する場合は、パスポートセンターの混雑状況をWebサイトで確認でき、順番お知らせメールサービスなどもあるので、駆使することをおすすめします。 次に、ネット環境。WiFiを借りたり、SIMカードを購入したりするのではなく、渡航先で利用できるeSIMがおすすめです。日本で購入し、インストールすれば良いので、紛失の心配や注文・受領、差し替えなどの手間も発生しません。 ◇ ◇ ◇ 前回の記事では、 「散り散りに点在している体験をITの力でつなぐこと」「旅行中に起こりうるペインを事前に潰して、起きないようにサービス側から提案してもらうこと」の2点が観光DXにとっては重要ではないかと書きました。今回の後編では、予想されるペインを自分で解決したエピソードに焦点を当て、移動のリスクを避けるために利用したアプリについて実体験を書きました。 本コラムに記載されている内容は、頻繁に海外に行かれる方にとっては当たり前のことかもしれませんが、過去の経験や知識にとらわれず、「どのようにしてストレスなく旅行を楽しむか」というユーザーの視点を大切にし、情報を収集し、素晴らしい経験を追求することは、サービスの提供やマーケティングの計画を考える際にも重要な要素ではないでしょうか。