関東中心に猛暑 “異例の梅雨”に企業も翻弄【WBS】
シェア傘企業は数で勝負
異例の梅雨に打ち勝とうとする企業は、ここにも。渋谷の街中にあるビルに設置されたのは、傘のシェアリングサービスを展開する「アイカサ」の傘立てです。 「梅雨なので『傘のいらない町 渋谷』をつくろうというプロジェクトを実施している」(アイカサを展開するネイチャー・イノベーション・グループの勝連滉一COO) アイカサはQRコードをアプリで読み取ることで、1日140円で傘を借りることができます。現在、渋谷駅周辺におよそ50カ所ある傘立てを、7月中には倍以上に増やすプロジェクトを先週立ち上げました。その実現に向け担当者が向かったのはプロジェクトのパートナーである不動産大手「東急不動産ホールディングス」です。 「渋谷の駅の周りにオフィス、商業施設が多々あるので、取り組みに協力できるかなと」(東急不動産ホールディングスの小山聡太さん) ユーザーが手に取りやすい場所を選ぶだけでなく、新たなデザインの傘の導入などで利用客の増加を狙います。 「雨天日数は例年に比べて今年は20日くらい少ないが、1日当たりの利用回数はどんどん伸びている。直近の6月、5月も過去最高を記録できるような売り上げになった」(勝連COO)
避けられぬ梅の値上がり
異例の梅雨はある農作物にも異変をもたらしています。東京・墨田区にある「立ち食い梅干し屋」では全国から厳選された16種類の梅干しをお茶やお酒と一緒に提供しています。また、お茶漬けにして食べることもできますが、ある問題について頭を抱えています。 「変わらず供給してもらわないと、量に対してはかなり困る。来年も凶作だったらどうなんだという、たらればの話も出てくるので、そこも含めて話し合っていく」(立ち食い梅干し屋を運営するバンブーカットの竹内順平社長) 24日、35度を超える猛暑日を記録した群馬・高崎市の梅農家を訪ねると「今年はもう大不作で(収穫は)終わっている状態」(久留馬総業の外處克社長)といいます。 梅雨はもともと梅の熟す時期の雨という意味もあり、本来、梅の収穫の最盛期を迎えています。ただ、異常気象の影響で梅の花の開花が早まったことで、実の数が激減。収穫は既に終えたといいます。 「(収穫量は)例年で言うと4割から5割。ごはんを食べるのがかなり大変。(商品の)価値を分かってもらえるような買い取り方をしてもらいたい」(外處社長) 歴史的な不作に梅の加工業者にも懸念が広がっています。 「売り上げが下がるのは間違いない。売るものがないわけですから」(「梅吉」の吉田和也社長) 梅吉では収穫された梅は1年かけて塩漬けされ、塩分の調整や種抜きをしてから出荷されますが、今年は量が少なかったことから、使われなかった容器もありました。来年流通する梅の値上げは避けられないといいます。 「梅がないからと言って、(価格を)上げるとは簡単にいかない。客に状況説明して、現状を理解してもらって、品質に対しての価格をきちんと説明していければいい」(吉田和也社長) 経済活動も翻弄する異例の梅雨。平年より遅い梅雨入りですが、関東甲信の梅雨明けは平年より早まると予想されています。 「(梅雨の)期間に予想される降水量は『平年並み』か『やや多い』と見ている。期間が短くなって降水量が変わらないとなると、一度に降る雨の量が多くなる可能性がある」(「ウェザーニューズ」の宇野沢達也気象予報士) ※ワールドビジネスサテライト