英スターマー政権「対EU」「対中」「対米」の未知数を読み解く
現在の労働党政権は保守党より企業寄りとも評される(スピーチを行うスターマー首相、英首相官邸Facebookより)
リシ・スナク前首相による突然の議会解散を受けて7月4日に行われた英国の下院選挙(総選挙、定数650)は、大方の事前予想通り、与党だった保守党が議席数を344から121へ大幅に減らし大敗した。2022年10月に史上最短の45日で辞任に追い込まれた保守党のリズ・トラス元首相も落選、スナク前首相は責任をとる形で保守党党首を辞任することを表明した。一方、労働党は205議席から412議席まで伸ばして過半数を確保、政権を奪取し、翌5日、キア・スターマー党首が新首相に就任した。 これまで、総選挙の時期は今年の秋から冬との見方が大勢だった。保守党の支持率は20%前後で低迷していたため、解散は12月の任期満了近くで、ないしは11月5日の米国大統領選の前に、景気が回復し支持率が持ち直すのを待ってから、という読みである。しかしながら、スナク前首相は、不確実な今後の景気回復を待つより、インフレが収まりつつある今のタイミングでの解散の方が傷は浅いと判断したようである。 いずれにしても、保守党の歴史的な敗北に終わった今回の選挙であるが、その敗因の一つは英国のEU(欧州連合)離脱、すなわちブレグジット(Brexit)に対する不評であろう。英国の公共放送BBCニュースによると、かつて有権者の6割以上がブレグジットを支持した選挙区で、保守党の得票率が前回選挙に比べ27%ポイントも低下したとのことである。
本文:4,629文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
武田淳