「大量閉店のイトーヨカドー」「自分の家の近くは大丈夫?」など心配の声が続出…あなたの街のイトーヨカドーが閉店した必然
しかし、郊外からの買物動線の変化が徐々に進行して、老朽化したヨーカ堂の郊外駅前店舗にも及んだ今、ついに撤退せざるをえなくなった、というのが客観的な事実といえる。 ヨーカ堂は、ほぼ最後の郊外駅前立地の総合スーパーだったのであり、そしてまだ、都内中心に90店舗以上が生き残っているのだから、逆に驚くほどだ。ただ、一連の店舗スクラップにより、低採算店はほぼ一掃されるので、ヨーカ堂を中心としたスーパーストア事業の収益性は一気に回復することになるだろう。
この改善効果が続くうちに、首都圏特化の食品スーパーとしての新たな形がつくれるのかが、今後の事業継続性を決めることになる。 ヨーカ堂について見てきたが、他にも残っている総合スーパータイプの店舗も似たような状況にある。ヨーカ堂と同様、東京発祥の西友も紆余曲折を経て、首都圏に残った総合スーパーの非食品売場をテナント化して、「食品+生活必需品」のスーパーとして生き残ろうとしている。 郊外型モールで生き残りの道を披いたイオンでも、M&Aした同業他社由来の都市型総合スーパーを持っており、その活性化を目指して「そよら」というショッピングモールへのリニューアルを行っている。
総合スーパーの非食品売場が縮小し、テナント化するというのは止められない流れだが、その場所を代わりに埋めることができる企業にとっては、都市部への出店チャンスが拡がるということでもある。この場所を取りに行っている代表的な企業が、ホームセンター最大手カインズと100円ショップ最大手ダイソー(大創産業)である。 ■総合スーパーの非食品売場に進出するカインズ これはカインズの最近数年分の新規出店をリストにしたものだ。カインズと言えば、地方、郊外に大型店舗を展開することで成長してきたホームセンターなのだが、近頃は総合スーパーをテナント化した商業施設への出店が増えていることがわかるだろう。