日本にも到来していた“スーパー台風”
フィリピン中部に甚大な被害をもたらした猛烈な台風30号は、ハワイにある米軍の「合同台風警報センター」(JTWC)によると、最大風速が毎秒87.5mに達する「スーパー台風」だった。スーパー台風は、日本の気象庁の分類にはないため、あまり聞きなれないが、2004年8月に日本に上陸し、大雨や高潮などによって死者・行方不明者17人を出した台風16号など、過去に日本にもたびたび襲来しているという。地球温暖化の影響でさらに“スーパー台風”の発生が増えるとの予測もあり、フィリピンの台風災害は決して他国の話ではない。 都会でも「洪水」が起こる? 【わかりやすい動画解説】
■米国と日本で異なる台風の定義 今回の台風30号の最大風速について、気象庁の解析では毎秒65mと、同センターよりも小さい値だった。その差は“平均風速の定義”の違いに原因がある。米国の方式は1分間平均の最大風速、気象庁では10分間平均の最大風速を採用しているため、米国の最大風速の方が日本のよりも1.2~1.3倍大きく出る傾向にあるのだ。 「台風」の定義についても、気象庁は中心付近の最大風速が毎秒17.2m(34ノット)以上を「台風」としているのに対し、米海洋大気局(NOAA)なども採用する同センターの基準では、毎秒32.7m(64ノット)以上~66.4m(129ノット)までを「Typhoon(台風)」とし、66.8m(130ノット)以上を「Super Typhoon(スーパー台風)」に分類している。 台風の強さについては、気象庁は最大風速毎秒32.7m(64ノット)以上を「強い」「非常に強い」「猛烈な」台風に区分し、大きさについては、風速毎秒15m以上の強風域が半径500km以上の台風に対して「大型(大きい)」「超大型(非常に大きい)」の区分をしている。同センターも、最大風速によって1から8まで、0.5ずつの区分でTyphoon(台風)の勢力を示している。 ■”風”によって分類される「台風」 ここで注意が必要なのは、日本も米国もあくまでも“風”によって「台風」を分類している点だ。気象庁が発表している最低気圧(単位ヘクトパスカル)は参考値としてのもの。確かに中心気圧が低いほど台風の勢力も強い傾向にあるが、中心気圧が950ヘクトパスカルの台風でも、最大風速が毎秒35mの“強い台風”もあれば、毎秒45mの“非常に強い台風”の場合もあるからだ。