主将の責務を果たし、乗り越えた就職活動 最後のバレー全日本インカレに臨む明治大・岡本知也
「勝つために何ができるか」を問い続けて
その後、就職活動を再開し、吉報が届いたのは、9月末。就職先には、バレーボールチームがあり、社会人になった後も競技を続けられることが決まった。「喜びもあったんですが、やっぱり安心感が一番でした。ずっと決まらない日々もバレーボールと両立してきて。やっと解放された感がありました」と岡本は笑顔で振り返る。 これまで、主将としてチームを一つにまとめ上げ、パフォーマンスを最大限に発揮するために意識したのは、部員の意思統一だ。もともと、明治大には個人のパフォーマンスが高い選手が集まっている。その上で、チームとしての組織力も高めないといけない。部員は、それぞれ違う高校で、異なる経験を経ていることもあって、時に、課題の見え方も異なっていた。このため、メンバーの目線を合わせ、同じ方向を見て課題を克服することが必要だった。 チーム内で意見が対立した時も、岡本は一人ひとりと向き合い、主将、副将、各学年の代表で話し合いを重ねたという。そうすることで、お互いの相違点を埋め、克服すべき課題を明確化。伸ばすべき長所も絞ることで、チームの練習への向き合い方も変わってきたという。「みんながプレーしやすい環境を大事にしたかった。最後は、『勝つために何ができるのか』を問いかけて、僕自身が後悔しない選択をしてきました」
攻守のハードワークでチームに貢献
身長は183cmで、最高到達点は329cm。190cmや200cmの選手が多くいる大学バレーボール界で、突出した選手でないことは分かっている。だからこそ、攻守双方で貢献しようとプレーを磨いてきた。攻撃の選択肢を増やして、相手のプレッシャーにつなげるため、レシーブを受けてもできるだけ攻撃に参加する。ハードワークを続けるためのトレーニングも欠かさない。思った通りに試合が展開しない時、タイムアウトやプレーの合間に、いらだちを募らせる選手に積極的に声をかける。苦境に陥っても、「主将でありエースでもある自分が下を向いている暇はない」と力強く語る。 東日本インカレでは準優勝だったが、それでも昨年の3位から1つ順位を上げたことに手応えも感じた。そして、秋の関東リーグ戦では、8勝3敗で2位に。個人としては敢闘選手賞を受賞した。目標だった日本一は、徐々に夢物語ではなくなってきている。「日本一への気持ちは、チーム全体として強くなっている」と岡本は話す。