主将の責務を果たし、乗り越えた就職活動 最後のバレー全日本インカレに臨む明治大・岡本知也
11月26日から、大学バレーボールの最高峰を決める全日本インカレの1回戦が始まる。東日本インカレで準優勝し、秋季関東リーグ戦で2位となった明治大学の主将・岡本知也(4年、五所川原工業)は、就職活動を続けながら、チームを牽引(けんいん)してきた。2つの難題に取り組んできた道は険しかったが、チームメートたちの支えで乗り越えてきたという。 【写真】攻守双方のプレーに磨きをかけてきた岡本知也
就職後もバレーを続けるために
就職活動を始めたのは、今年の2月ごろ。就職後もバレーボールを続けたいと考えてはいたが、そのためには入社試験を突破しないといけない。体育会に所属していない学生と比べると、遅い出だしということもあり、戸惑いも多かったという。就職したい業界、やってみたい仕事が定まらない中、自分と向き合い、これまで生きてきた20年間あまりを振り返った。 その結果、湧いてきたのは「ものづくりをしたい」という思い。高校時代に情報技術科でプログラミングや情報セキュリティーを学んでいた経験がきっかけだった。プログラムを一から組み立て、形にしていく面ではプログラミングも、ものづくりと言える。そういった仕事に就ける業界にトライしようと考えた。 面接練習やエントリーシートの書き方を学ぶことからスタートしたが、バレーボールチームがある企業の入社試験を受けても不合格に。明治大学の主将といえども優遇されることはなかった。そんな時に、アドバイスをしてくれたのが廣本遥コーチだった。岡本は「エントリーシートを添削してもらい、面接練習の計画も立ててくださいました」と感謝の言葉を口にする。
不調時に助けてくれた同期
主将としての責務を果たしながら就職活動を続けるのは簡単ではなかった。4月には、春の関東リーグ戦が開幕。大学生としてのラストイヤーだけに、試合や練習をおろそかにすることはできない。大学の講義にも出席し、その合間に、就職活動や練習の時間をつくったという。6月の東日本インカレは富山県で開催。連日、試合が続くため、就職活動は一時ストップした。 バレーボールに集中しようと割り切っているつもりではいたが、頭の片隅に就職活動への意識が残っているせいか、1、2回戦は調子が上がらなかった。バレーボールチームがある企業から声がかからず、結果を出して注目してほしいという思いもプレッシャーにつながった。そんな時に助けになったのは、後輩の成長と同期からの「いつも通り、プレーで引っ張っていく姿を見せれば大丈夫」という言葉。徐々に調子を取り戻し、チームは決勝に駒を進めた。 相手は、春季リーグを制した中央大学。2セットを先行されたものの、後半2セットを取り返した。勝負の行方はフルセットにもつれ込み、リードしてコートチェンジを迎えたものの逆転負けを喫した。「悔しかったですね。最後の勝ちきり方では、中央大が一枚上手で、自分たちは『勝てそう』という気持ちが先行したのだと思います」と岡本は振り返る。