【別府競輪・GⅢナイター】地元の大西貴晃がS級初V 九州6車の番手からBS抜け出し
4日間に渡り熱戦を繰り広げた「大阪・関西万博協賛/別府市制100周年記念事業 別府競輪GⅢナイター」(優勝賞金440万円)は14日、最終12Rで決勝を行い、大西貴晃(32)=大分・101期・S2=が逃げた阿部将大の番手から抜け出して、地元GⅢでS級初Vを手にした。2、3着は九州3、4番手の小川勇介、園田匠。6車連係の九州勢が上位を独占した。併催のガールズ決勝では、石井寛子が今年13回目のVを無傷の4連勝で成し遂げた。4日間の総売上額は34億2010万6900円で、目標の33億円を上回った。 ■ヒーロー デビュー13年目の大西貴晃がS級初Vを地元GⅢで成し遂げた。ゴール前は後位の小川勇介に外から迫られ、「小川さんが伸びていたので、ガッツポーズの余裕もなかった」と冷や汗。それでもゴールから1周後のメインスタンド前では4着ゴールの坂本亮馬に右手を高々と挙げてもらいながら、歓声に応えた。 日出暘谷高の後輩で、同門の阿部将大が突っ張り先行。マークする大西の後位は福岡4人が固めた。単騎でカマしてきた山本伸一を終2角でけん制したが、「山本さんを止めたが、後ろを固めてくれた先輩たちのことも考えて、番手から出させてもらった」と終BSで番手捲り。「最後は自分もいっぱい」と持てる力を振り絞ってハンドルを投げた。 高校時代は自転車競技で数々の栄光を勝ち取ったが、プロでの大活躍はなかった。昨年後期はA級に甘んじた。だが同門の阿部将大が7月の別府記念を含むGⅢを4V。周囲から「大西が一番やる気になっている」と言われるほど刺激を受けた。 その阿部も含めて、「番手を回らせてもらって、九州一丸となって優勝させてもらった。次は自分が前で頑張りたい」とラインを組んだ5人に感謝。S級で活躍できる自力型の少なかった大分を阿部とともにけん引して、九州勢の浮上にも一役買う。(野口雅洋)
■プロフィル ◆大西貴晃(おおにし・たかあき)1992年9月18日生まれの32歳。大分県出身。日出暘谷高時代の2010年に高校総体と国体の1キロタイムトライアル、アジアカップのチームスプリントを優勝。同年に杵築市民栄誉賞、大分県民栄誉賞を受賞した。大分支部101期で2012年7月に玉野でデビュー。ホームバンクは別府。通算成績は947走231勝、優勝34回。GⅢ優勝は初。師匠は菅原晃(大分・85期)。176.8センチ、71.4キロ、A型。
■決勝VTR 5番車の阿部将大がポンと前に出てS取り。阿部―大西貴晃―小川勇介―園田匠―坂本亮馬―山口貴嗣の九州勢が前受け。その後ろは単騎の山本伸一、杉森輝大―山崎将幸(東日本)で周回。 赤板で東日本が誘導を切りに行くも、阿部が突っ張って東日本は元の位置。初手と同じ並びで打鐘。 鐘3半で山本がカマして大西の横まで進出したが、2角で大西のけん制を受けて車が止まる。それを見た杉森が山本の外を2角捲り。だが大西はBS番手捲りで合わせ切り、後位の小川の猛追を振り切ってV。小川が2着、小川後位の園田が3着。杉森は捲り切れず5着。