F1 Topic:5年ぶりの『ワンデー開催』で想定されるシナリオ。選手権争いへの影響と、ポイント付与の可能性
F1第21戦サンパウロGP土曜日の予選が日曜日の朝7時30分(日本時間19時30分)に順延された。これにより、2024年のサンパウロGPは日曜日に予選と決勝レースを行う、いわゆる『ワンデー開催』となった。 【写真】2024年F1第21戦サンパウロGP PPのランド・ノリス(マクラーレン)と予選3番手の角田裕毅(RB) F1で日曜日にワンデー開催が行われるのは、台風19号の接近に伴い、土曜日に予定されていたすべてのセッションの中止を決定した2019年日本GP以来となる。 このときは予選は午前10時に組み込まれ、レースのスタート時間は変更されなかったが、今回のサンパウロGPは午後2時に予定されていたレースのスタート時間が午後12時30分に繰り上げられている。その理由を国際自動車連盟(FIA)とF1は次のように述べた。 「日曜午後の天気予報が継続していることを考えると、ファンにレースのアクションを1日中楽しんでいただける可能性が最大限に高まります。FIAとF1は、この時間変更は必要であり、すべての熱狂的なファンのために正しいことだと認識しています」 この説明だと少しわかりづらいが、噛み砕いて言えば、サンパウロの天候は日曜日も雨となっており、再び遅延する可能性を考慮して、全体的にスケジュールを前倒ししていると考えていいだろう。 問題はこの雨がチャンピオンシップ争いに与える影響だ。もし、雨が土曜日のように激しく降り続いて、レースがスタートできずに中止となった場合は間違いなく選手権リーダーのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)にとって有利になる。 ただし、大金が絡んでいる興行であるF1はどんなことがあってもレースを中止にすることは考えにくい。たとえ土曜日と同じような雨に見舞われても、2021年のベルギーGPのようにセーフティカー先導でレースをスタートさせるに違いない。 もし、そうなった場合、問題はセーフティカーがいつ解除されるかだろう。というのも、今回のレースでフェルスタッペンは6基目のICE(エンジン)を投入したことで5グリッド降格となっているため、フェルスタッペンとしては追い上げるために少しでも早くセーフティカーが解除され、レースがスタートされることを望んでいるからだ。 ただし、日曜日に降る雨はランド・ノリス(マクラーレン)にとっても、やっかいだ。それは雨脚が強まってスタートがセーフティーカー先導で行われたり、レースが赤旗によって途中で中止となる可能性があるからだ。その場合に起きうる獲得ポイントを確認しておきたい。 ■ケース1 先頭車両が、セーフティカーおよび/またはバーチャルセーフティカーの介入なしに、最低2周走り切らない限り、ポイントは付与されない。 ■ケース2 先頭車両が2周を完了し、レース距離の25%(サンパウロGPの場合18周)未満で中止となった場合は、レースは成立したと認められるが、与えられるドライバーズポイントやコンストラクターズポイントは1位(6点)、2位(4点)、3位(3点)、4位(2点)、5位(1点)となる。 ■ケース3 先頭車両がレース距離の25%(サンパウロGPの場合18周)を完了し、レース距離の50%(サンパウロGPの場合35周)未満で中止となった場合のポイントは、1位(13点)、2位(10点)、3位(8点)、4位(6点)、5位(5点)、6位(4点)、7位(3点)、8位(2点)、9位(1点)となる。 ■ケース4 先頭車両がレース距離の50%(サンパウロGPの場合35周)を完了し、レース距離の75%(サンパウロGPの場合54周)未満で中止となった場合のポイントは、1位(19点)、2位(14点)、3位(12点)、4位(10点)、5位(8点)、6位(6点)、7位(4点)、8位(3点)、9位(2点)、10位(1点)となる。 つまり、フェルスタッペンとの差を少しでも縮めたいノリスにとっては、フルポイントがもらえる75%(54周)以上の周回でレースを争いたい。 ただし、これはフェルスタッペンにとっても同様で、Q2で敗退し、さらにグリッドペナルティで失ったポジションを取り返すためには、少しでも多くの周回をしたい。 5年ぶりのワンデー開催がどのような決着を迎えるのか。71周のサンパウロGP決勝レースは、雨脚とレースコントロールの判断にも注目が集まる。 [オートスポーツweb 2024年11月03日]