【有馬にかける男たち①】菅原明良騎手 ブローザホーンと歩んだ飛躍の一年!春秋グランプリ制覇だ
グランプリの大一番に挑む騎手の胸の内に迫る連載がスタート。第1回は、中山競馬場の近くで生まれ育った菅原明良騎手(23)=美・高木=が、有馬記念への思いを明かした。ブローザホーンとのコンビで今年、GⅠ初制覇を成し遂げ、念願のグランプリ初出場。地元の中山で飛躍の一年を締めくくる。 ◇ 中山競馬場のある千葉県船橋市で育った菅原明騎手にとって、有馬記念は特別なレースだ。その夢の舞台にデビュー6年目にして初めて上がる。パートナーは今年の宝塚記念でGⅠ初制覇を成し遂げたブローザホーンだ。 「そんなにチャンスのもらえるレースでもないので、勝てたらすごくうれしいですね」 実家が競馬場のすぐそばにあったことから、幼少期の遊び場はいつも競馬場だった。それだけに、「ありきたりにダービーを勝ちたいという気持ちもあるんですけど、有馬記念はまた少し違うんです」。 幼い頃から身近に感じていたグランプリ。思い出の有馬記念は、2013年のオルフェーヴルのラストラン。「現地で見てましたが、引退レースでこのパフォーマンスなのか…と驚きました」と、2着に8馬身差をつけた名馬の圧倒的な強さにしびれた。 今年はブローザホーンとのコンビで日経新春杯V、天皇賞・春2着、宝塚記念でGⅠ初制覇。最高の形で春を締めくくったが、秋は不完全燃焼。京都大賞典では直線手前で失速し、まさかのしんがり負け。「気持ちと体がいい雰囲気ではなかった」と振り返る。前走のジャパンCは「一度使ったことで状態は上がっていた」というが、スローペースにのまれて伸びを欠いた。それでも、「着順は良くなかったけど馬の雰囲気は良くなっていた」と悲観の色はなく、巻き返しに向けて「自信を持って臨める状態」と手応えを口にする。 デビュー6年目に騎手としてさらに飛躍した。GⅠ初勝利もそうだが、秋には初めての海外遠征も果たした。「メルボルンC(ワープスピードで2着)では、結果を出せたので自信になりました」と南半球最大のレースといわれるオーストラリアのGⅠでの経験がプラスに働いている。 同一年の春秋グランプリ制覇なら20年クロノジェネシス以来、12頭目。思い入れのある馬で再びチャンスが巡ってきている。「乗せていただけてありがたいですし、中山のGⅠを勝てたら感慨深いです」。苦楽を知る相棒と、人馬一体でグランプリの頂点を目指す。(吉田桜至郎)
■菅原明良(すがわら・あきら) 2001(平成12)年3月12日生まれ、23歳。千葉県出身。美浦・高木登厩舎所属。19年3月2日の中山5Rで初騎乗(シュリュッセル8着)。同年4月20日の福島6R(タイキダイヤモンド)で初勝利。21年2月7日の東京新聞杯で重賞初制覇を挙げると、24年6月23日の宝塚記念(ブローザホーン)でGⅠ初制覇。今年の秋は自身初の海外遠征(オーストラリア、米国、香港)を経験。16日現在、JRA通算4361戦337勝。重賞は11勝(うちGⅠ1勝)。162センチ、45キロ。