甲子園ボウルをめざす準々決勝で法政大が勝利 敗れた中京大も奮闘、守備とラン攻撃で苦戦強いる
中京大はランで大健闘 法政大は打開力に課題
試合前は法政の快勝を予想していたが、スコア以上に中京大の奮闘が光った。攻撃獲得距離は法政大の411yd(パス247yd、ラン164yd)に対して、中京大は339yd(パス140yd、ラン199yd)。大差はなく、ランについてはなんと法政を上回った。松元が25回の力走で144yd1TDを獲得し、全国レベルで通用する走りを見せつけた。攻守ともに約半分が下級生のメンバー構成で、来年以降を期待させるゲーム内容だった。 昨年ヘッドコーチ(HC)に就任した大橋誠さんは、選手に対して目の前のことにフォーカスすることの重要性を説いていた。格上の相手に対し、高い集中力を保てていたことが印象的だった。ほとんどの選手が高校アメフトの未経験者と考えると、驚異的なチーム力を発揮したゲームだった。 法政大は廣瀬のラン、WR高津佐への捕球後の走りをケアされて、打開力に課題が残った。2人のキーマンが早いつぶしにあい、リーグ戦のように気持ちよくプレーさせてもらえなかった。ベーシックなプレー中心だったこともあるので、30日に行われる準決勝の関西学院大戦では、一味違った展開が見られることを期待したい。
法政主将「ディフェンス面には収穫あり」
法政大・矢澤正治監督の話 序盤苦戦した点については、準備不足の面もあったかもしれないと感じました。中京さんのディフェンスがかなり積極的にこられていて、そこに対するアジャストがあまり良くなかったという反省もあり、慣れるのにすこし時間がかかってしまいました。試合に出たメンバーは1軍で、ちゃんとやった結果です。 関東のリーグ戦だと天然芝で試合をする機会がないので、甲子園を見据えてその経験が積めたのは良かったと思います。オフェンスにもディフェンスにも言えることですが、私たちの弱いところを攻めてきていただいて、「弱いな!」ということを教えていただけたことは収穫かなと思います。 お互い同じ条件ですが、リーグ戦と違ってスカウティングに十分な時間を割けたわけではなかったので、リーグで対戦する場合は、良くも悪くもまた違う展開になったかもしれません。ただ、中京さんのレベルはめちゃくちゃ高いなと試合を通して感じました。 1週間後に関学さんと戦いますが、元々シーズンを甲子園ボウルを含めた10試合でスケジュールプランを立ててやってきました。なので、この1週間でなにか特別なことをするわけではなく、引き続きしっかりやっていきたいと思います。 法政大・DL山田晋義(日大鶴ヶ丘)主将の話 素直に中京さんが強かったなと感じた試合でした。でも結果的にディフェンスは要所で良いプレーを止められていたので、その点は良かったかなと思います。 この先の試合で勝って、甲子園ボウルでも勝つには、地力を上げて勝っていかないといけないと思っていて、そこの部分では真っ向勝負しましたし、反省点も出ましたが収穫はあったかなと感じています。 次の試合、周りの人は99.9%関学さんが勝つと思っていると思います。ハドルで全員に話したんですが、残りの2試合を勝てば大学アメフトの構図がひっくり返るくらいのインパクトがあると思っていて、その分強い思いの詰まった試合だと考えています。勝てれば、結果として法政大を目指す高校生も増えて良い循環ができるだろうと。 1年、3年のときに戦ったときとはまた違う、「フィールド上で死んでもいい」くらいの気持ちを関学さんにぶつけようと思っています。 法政大・谷口雄仁の話 いつもの自分たちのペースをつくるスピードが遅かったのが反省ですね。いつも通りのことができていないという感覚で、相手どうこうの前に自分たちがすることに集中しようという声がけをずっとしていました。 中京さんも強かったですが、それ以上に自分たちのオフェンスができてないことに問題があると思っていて、スタートやコミュニケーション、キャッチミス、投げミスなどわかりやすいミスが続いたことが課題です。 次はこれまで2度日本一を阻まれてきた関学さんが相手なので、自分の人生のすべてをかける思いで挑みたいと思っています。 法政大・高津佐隼世の話 しっかりと準備してきたことはあったんですが、イレギュラーなことが起こったときに雰囲気が落ちてしまいました。一度落ちたところから、しっかり立ち上げていくのが課題だったんですが、時間がないスケジュールや試合前の練習など、いつも通りいかないことも多くて、そのことも苦戦につながってしまったかなと感じます。 中京さんの守備にしっかり対策されてたと思いますし、選手の能力も非常に高かったと感じました。そういう状況で相手を圧倒できないのが法政のWRの課題ですし、そこを打開できないと関学さん相手も厳しいなと。 来週の試合は、張り切りすぎて本来のプレーができないと本末転倒なので、いつもと変わらず自分ができるプレーをしっかりやり切りたいと思います。
北川直樹