どうして白黒なのか？　

　現在、白黒のPCは日本全国に何台配備されているのだろうか。警察庁に聞いた。 「警察庁において全国に整備している警察用車両のうち、いわゆる白黒パトカー（小型警ら車、無線警ら車及び交通取締用四輪車）は約9000台です」 　前掲書でも紹介しているが、当初のPCの色は統一されていなかった。現在の白黒2色に統一された理由は何だろうか。 「パトカーの白黒塗装は、昭和30年、未舗装道路が多くパトカーの汚損が著しかったことから、それまでの単色から白黒2色としたことが始まりとなり、同年以降、全国で統一されています」（同） 　サイレンが赤色の理由は「道路交通法施行令14条（緊急自動車の要件）」や「道路運送車両の保安基準第49条（緊急自動車）」などの規定によるという。警視庁OBによると、PC乗務員になるには、警察に入ってから緊急自動車を運転するための資格を取得しなければならない。乗務員は交代のたびに必ず洗車するため、街中で見かけるPCは常にピッカピカなのだという。 　だが、いずれ廃車になる時もくる。PCはどれくらいの走行距離や使用年度で廃車になるのだろうか。 「警察用車両は、車種別の更新年限を定めており、白黒パトカーは走行距離に関わらず、原則として6年から11年で更新することにしています。更新後の古いパトカーについては、破砕処分しています」（同） 　外国人にも識別できるように、車体に「POLICE」の文字が入ったのは2007年からだが、今回の改良の目玉である、赤色灯の歴史も振り返りたい。昔の赤色灯といえば、円柱状のものがPCの屋根に取り付けられていた。それが、「散光式赤色灯」と呼ばれる、横に広がった棒状になり、現在はブーメラン型が搭載されている。 「ブーメラン型の赤色灯は、エアロブーメランタイプと呼ばれる4灯式で、PCの車体を横や真上から見ても、赤色灯が見えやすいというメリットがあります。さらに、赤色灯が昇降式になっており、遠方からの視認性が向上しました。それより前の横長タイプはいくつか種類がありますが、4灯式のほかに2灯式もあり、中央の連結部分にはサイレンアンプが搭載されていました。ブーメランタイプのアンプは、赤色灯の下部に設置されています」（前出・警察庁担当記者） 　赤色灯が、円柱状から横長になった時は、外国の警察のように、ずいぶんとカッコよくなったなと思ったものだが、 「警察庁では、平成8年からブーメラン型の赤色灯を導入しています。横長タイプの赤色灯については、昭和51年ごろからパトカーの更新に併せて順次導入を開始しました」（警察庁） 　ところで、この横長タイプの赤色灯導入に際し、「ある映画界の著名な人物が関与していた」という説があるのをご存じだろうか？