日本にいる「国連軍」を知っていますか? 在日米軍だけでない安全保障の最前線 川名晋史・東工大教授に聞く
●ファクトを並べることで見えてくるものがある
――本書の狙いまさにその点でしたね まずはファクトをしっかり確定させようという意図もあります。ファクトを確定させないことには何も始まらない。現実主義は本当に現実主義なのか、実は非現実主義なのではないかという問題意識もありました。リベラル派の理想主義というものにも世間の不信感がある。具体的なオルタナティブが出せていない。そこを若い世代は見透かしている。 ――リベラルにはつらい時代になってる まずはもう1回ファクトを並べてみて、再整理をしてみましょう。そこから日米安保や在日米軍基地に対する評価をやりましょう。再整理することで、新たなムーブメントが生まれるかもしれません。 ――在日米軍基地について今後の見通しをどう考えていますか? 今後の見通しは非常に難しいですね。今のままだったら変わらないと思います。政府レベルでいえば、日本にとってもアメリカにとっても、今の状況は居心地は悪くない。これをメンテナンスしていくのが楽だと考えているのではないかと思います。 ――今が居心地が良いのであれば変える必要がない? なし崩し的に事が進められ、多くの人にとって日常生活に差しさわりがない。しかし、そのひずみは確実に存在している訳ですね。そこに民主的な統制を利かせることは重要だと思います。意見対立はあっても良いと思いますが、まずは見えるようにする。何が行われているのか、どういう風にして決まっているのか、その手続きとは何なのかということを確認し、合意するということが必要になると思います。