「上昇時に売る」動きが続き、ビットコインは5万7000ドルを割る
ビットコイン(BTC)は9月5日に5万7000ドルを下回り、4日の上昇分を帳消しにした。アメリカ経済の強さに対する懸念が依然として残っているため、投資家はリスク資産を売却した。 時価総額トップの暗号資産(仮想通貨)は4日に5万8000ドル以上の足場を確保できず、2%以上下落し、5万6700ドルとなった。価格は8月25日の6万5000ドルをピークに下落傾向で、特に一時的で小幅な上昇を特徴としており、これは「上昇時に売る」というメンタリティが持続していることの兆候である。 イーサリアム(ETH)、エックス・アール・ピー(XRP)、トンコイン(TON)など、その他のほとんどの暗号資産も4日の反発を帳消しにし、24時間ベースではほぼ変わらずの取引となったことが、CoinDeskのデータから明らかになった。暗号資産市場全体の指標であるCoinDesk20指数(CD20)は、最近0.9%上昇した。 「上昇時に売る」傾向は、アメリカの景気後退リスクが高まっているという懸念から生じている可能性が高いと、調査会社BRNのアナリスト、ヴァレンティン・フォーニエ(Valentin Fournier)氏は指摘する。これはリスク資産へのエクスポージャーを減らすことを好むというセンチメントから生じているという。 「経済レポートはますます、不況のリスクを無視すべきではないことを示唆している」とフォーニエ氏は述べた。「ISM製造業景況指数(PMI)は予想を0.5%下回り、求人数は予想の810万件に対して770万件となっている」。 「現在の経済の不確実性と流動性低下の可能性を考慮すると、我々は(BTCへの)エクスポージャーを減らし、投資を増やす前に、より良いエントリーポイントを待つことを推奨する」とフォーニエ氏は付け加えた。 アメリカ労働統計局(BLS)は4日に雇用動態調査(JOLTS)を発表し、FXstreetのデータによると7月最終営業日の求人件数は767万件で、市場予想の810万件を下回り、下方修正された6月の790万件よりも弱い数字となった。 一方、経済状況に関するコメントの要約であるアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の地区連銀経済報告(ベージュブック)は、ジップリクルーター(ZipRecruiter)のチーフエコノミスト、ジュリア・ポラック(Julia Pollak)氏によると、ここ最近で最も悲観的な内容であり、「減速し、緩みつつある労働市場」を示しているという。 4日、ISM製造業PMIは8月の活動の継続的な縮小を示し、8月初めに暗号資産を含むリスク資産を揺るがした成長懸念が再燃した。 この弱いデータにより、FRBの金利引き下げへの期待が高まったが、これまでのところ、BTCの価格の底値を設定するには至っていない。 FxProのシニアマーケットアナリストであるアレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏は、ビットコインの低迷は伝統的なリスク資産にとっての赤信号の可能性があると述べた。 「暗号資産の低迷は、非常に限定されたリスク選好の現れであり、他の市場も暗号資産の動きに追随する可能性がある」とクプツィケビッチ氏は述べ、BTCが最近のドル指数の弱さから長期的な強さを引き出すことができていないことを指摘した。 「ビットコインは、200日平均を上回る水準で安定しようとしたことが売りを加速させ、過去11日間のうち9日で下落している。このパターンは5日の朝まで続き、価格は過去4カ月間の最安値を試す動きが続いている」とクプツィケビッチ氏は電子メールでCoinDeskに語った。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Bitcoin Retraces Below $57K as 'Sell-on-Rise' Action Continues
CoinDesk Japan 編集部