体の冷却と生活習慣で「暑害」を乗り切れ! 2024年版熱中症にならない酷暑対策
レオンポケットの開発以前、伊藤さんはソニーでカメラの商品設計に従事していた。向上し続ける画像処理性能を追いかけ、いかに熱を逃してパフォーマンスを発揮させるかを追求、そのなかでペルチェ素子の存在を知った。新しい発想のきっかけは17年、出張で訪れた上海の街の暑さだった。 「いまでこそ日本で猛暑はめずらしくありませんが、あの時、上海の気温38度は、初めての体験でした。ホテルに帰れば冷えすぎで体調を崩す懸念を抱き、エアコンの室外機の熱が、街の気温をさらに上げてしまうのではとも考えた。私はマイナスの気温なら服を着こめば我慢できますが、体温の36、37度よりも1、2度高い気温には耐えられないという事実に、危機感を持ちました」(伊藤さん) ◇小型、自動、静か 海外でも大人気 最新のレオンポケット5は、本体の冷却プレートが背中の左右中央、襟下の首元に当たるようにワイヤーをかけて装着する。操作はスマホの専用アプリから。スイッチをオンして、冷却のレベルを5段階から選ぶ。レオンポケットが体温を感知して、適正温度を目指して自動で冷却してくれる。メーカーは熱中症対策のための機器ではないとしているが、暑さ対策には便利だ。 なぜ首元を冷やすのか。 「大学とも検証を進めてきましたが、首元は冷感・温感を感じやすい部位の一つです。また装着のしやすさと、サーモモジュール(ペルチェ素子)から出る熱を排出し冷却を維持する構造にも適していたことから首元を選定しました」(同) 手のひらサイズで、薄い本体には、肌に触れる金属プレート、その裏にペルチェ素子、その下に放熱のためのファンが入っている。ペルチェ素子は片面が冷却すると、反対側は発熱するのが特徴で、冷却が始まると熱を排気するためにファンが動く。これがかなり静か。外部のメーカーにオーダーした伊藤さんも「ファンがここまで進化するとは」。最も小さい作動ではサーッと波のような優しい音で、ビジネスシーンに持ち込みやすい。