ネパール・地震で加速する“貧困”の悪循環 “水源”失い徒歩1時間水くみ 山岳で困窮【FNSチャリティキャンペーン2024】
FNSチャリティキャンペーンで、倉田大誠アナウンサーが取材に訪れたのは、去年11月に起きた地震の爪痕がいまだに残る、ネパールです。 【画像】半年前の地震で被災したネパールのようす 地震の影響で今もなお、各地で土砂崩れが発生していますが、その危険性をさらに高めるある現象が、たびたび起きています。 倉田大誠アナウンサー: 僕らが宿泊している宿がこの白い建物なんですが、そこから川を渡って対岸の山の斜面、いま火が出ています。かなりの広範囲ですよね。火の線が斜めに1本走っています。赤い炎が見えていて煙が立ち上っている状況です。 宿泊先のホテルの近くで発生した「山火事」。山の斜面を切り裂くように、炎の赤い線がくっきりと浮かび上がっていました。 さらに時間が進むにつれて、ただでさえ地震の影響でゆるんだ地盤が、火の影響で落石や土砂崩れがおきていました。それは、車の通る道のすぐ近くまで…。 ネパールでは、こうした煙によって、気管支疾患を患う人も多いといいます。 頻発する山火事、その多くが「野焼き」の火が燃え移ることで発生するといいます。なぜ危険だとわかっているのに野焼きを続けるのか、畑の持ち主に理由を聞いてみました。 倉田アナ: いまご自身で土地を燃やしていますけど、この火が山に燃え移っちゃったりすることってないんですか? 畑の持ち主のリラさん: あります。わらとか、残った雑草などを燃やせば、大事な肥料になります。燃やさずに腐らせて肥料にするものもありますが、私たちが使うわらや草は腐りにくいので、肥料にするためには燃やすしかありません。 山岳地帯に暮らす彼女たちにとって、肥料は「高級品」。そもそも収入が低い上に、この切り立った山の中では、商品を運んでくるコストはバカになりません。 その上、この地域は、決して農業に適した土地ではありません。肥料を使わずに少しでも土地を豊かにするためには、野焼きは欠かせないといいます。
苦しい暮らしがさらに苦しく
過酷な山での暮らし。 地震の被害を受けたアスビスコット地区で、ある親子に出会いました。 母親のバルさん(55)と、娘のディパさん(12)。父親は、3年前、新型コロナで亡くなったといいます。 地震によって自宅も損壊。ディパさんは毎日、ヒビの入った家で食事を作るなど家事をこなしています。 倉田アナ: 結構煙いですね。換気扇もなくて、唯一これがいわゆる煙が出ていく窓なんですけど、なかなか…。煙で、目が痛くなったり、せきが出たりしない? ディパさん: なります。せきが出ないようにスカーフをあてます。 倉田アナ: 外ではお料理を作らないの? ネパールの山岳地帯の家庭では、家の中にレンガなどで作られた炊事場で料理を行うのが一般的。煙突がなかったり、換気が不十分な家も多いといいます。まるでいぶされるかのように、炊事場入口の上半分は黒く変色しています。 ディパさんが料理をしている間、ずっと外で休んでいた母親のバルさん。長い間こうした暮らしをしてきたことがたたり、喘息を患っています。 バルさん: 8年前から薬を飲んでいます。安い薬なので、あまり効き目を感じません。 出稼ぎに出ている長男からの仕送りで、なんとか生活できているという厳しい暮らしの中、直撃したのが半年前の地震でした。 バルさんたちが住んでいる村には、歩いて20分の場所に水を汲める水源がありましたが、地震の影響で水がほとんど出なくなってしまいました。 今は、自宅から歩いて1時間かかる場所まで、歩いて水をくみに行かなくてはいけません。 倉田アナ: このポリタンクに水が入っています。大体4Lぐらいですかね。こうやって家まで帰るんですね。 当然、道は舗装されていません。僕はトレッキングシューズを履いていますが、現地の方々は素足にサンダルです。この勾配を登っていきます、かなり大きな石も落ちています。 水をくみ終わり家に戻ろうと歩き始めてわずか2分、バルさんが立ち止まりました。持病の喘息が響き、歩き続けることができません。 大きく深呼吸するように息を吐くバルさんを、ディパさんが心配そうに見つめます。 何度か休みながら自宅を目指す2人。時にはディパさんがバルさんの分の水を代わりに持ってあげる場面もありました。 倉田アナ: お母さんの水持ってあげるんだ。 村に入ると、さらに急な坂と足場の悪い道が続きます。 倉田アナ: あ、これですね。ようやく着いた。ようやく着きました。いま9時59分、9時7分に出発したからちょうど休憩も入れて52分。1時間ですね本当に1時間だ。 倉田アナ: 1日何回ぐらい多いときで水汲みに行くの? ディパさん: 多いときは5回ぐらい行きます。 以前は長男が担ってきた力仕事。今は出稼ぎでいないため、すべてをディパさんが担っています。1日の大半は水汲みや料理などで終わってしまいます。 厳しい山暮らしが地震でさらに悪化、彼女は12歳にして、自分のための未来を考えることなど想像もできない生活を送っています。
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