ネパール・地震で加速する“貧困”の悪循環 “水源”失い徒歩1時間水くみ 山岳で困窮【FNSチャリティキャンペーン2024】
「出稼ぎ大国」が地震で加速
被災地から一番近い都市・スルケットで、出稼ぎに出た少女に出会いました。 18歳のバーワナさん。 地震の被災地ジャジャルコットから、出稼ぎでこの街にやってきました。ホテルスタッフとしてベットメイキングや掃除を担当しています。 倉田アナ: ここに来ようと思ったのは、家族の誰かから言われたからですか? バーワナさん: 実家が地震で壊れて農業もできなくなったので、こうするしかないと自分で決めました。 父親はインドに出稼ぎ中。まだ研修中のため、週に6日働いても、給料は日本円で月収わずか1万2000円。そのほとんどを、仕送りで実家に送るといいます。 宝物は、学生時代、勉強に使っていた一冊のノート…。 バーワナさん: 本当は大学に行って教師になりたかった。でも、家を建て直すためにお金が必要になって、大学に行けなくなりました。地震のことを思い出すと、どうしようもない怒りが湧きます。 ここでも、一人の少女の未来を大きく変えてしまった、地震。 こうした出来事が、多くの被災者に起きました。バスターミナルは、出稼ぎに向かう人たちであふれています。 出稼ぎ労働者: 村だと稼ぎが少ないので、家族を養うために出稼ぎに来ている。 出稼ぎ労働者: マレーシアに行きます。村では仕事がないので海外に行くしかないです。 そもそも200万人が海外で働き、「出稼ぎ大国」と呼ばれてきたネパール。その流れは、地震でさらに加速しています。 中には、ネパールを出てロシア軍に雇われ、兵士になったという人もいました。 ネパール西部の山岳地帯で生まれ育ったという男性。 ロシア軍に雇われ兵士になった男性: 人を集めるブローカーから、ロシア軍の募集があると言われました。 「命の危険はない」「月に20万ルピー(約23万7000円)もらえる」と言われて、入隊したんです。全てはお金のためです。 地元で生きていたら絶対に得られない、ネパールの平均月収の約5倍の報酬に、多少の危険は承知で飛びつきました。 ロシア軍に雇われ兵士になった男性: 実際に入隊したら、99%死ぬような現場に投入されました。攻撃を受けて、足に大けがをしました。数多くの死体にも遭遇しました。もうダメだと思って、命からがら逃げて来たんです。 彼は、まだ幸運な方なのかもしれません。ネパールメディアでは、ロシア軍に入って命を落とした、という例が、いくつも報じられています。 山で生まれたがゆえ、暮らしは厳しく。そこに地震も直撃さらに、出稼ぎに出ても稼ぎは少ない。ネパールで見たのは、生まれた場所が貧困を生み、それを再生産する実態でした。 (めざまし8 6月26日放送)
めざまし8
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