高額な「離檀料」に「墓石撤去費用」…承継者不足で需要急増の〈墓じまい〉に待ったをかける「厄介なトラブル」とは【専門家が解説】
少子化による承継者不足で、近年ますます需要が増えている「墓じまい」。しかし、いざ墓じまいをしようとすると、さまざまな問題が待ち受けているケースも多いようです。今回は、散骨・墓じまい・終活サービスを提供する株式会社「縁」代表取締役、小西正道氏の著書『墓じまい!』(ブックマン社)より、墓じまいの際に、切っても切り離せない「寺院」との関係性について、詳しくみていきましょう。 【早見表】国民年金・厚生年金「年金受取額」分布…2022年3年度末現在 2023.01.10
墓じまいの攻防戦、なぜ需要が増えているのか
近年、墓じまいを考える方がかなり増えています。大きな理由は、墓地の継承者となる墓守(墓地継承者、祭祀継承者とも)の減少です。先祖代々の墓があっても、それを継承してくれる人がいなければ、いずれは墓じまいをするしかありません。お墓に対する世の中の意識変化も背景にあります。 墓地継承者の有無を尋ねた調査(平成25年)では、「継承者がいない」が41.3%、「継承者はいるが、負担をかけたくない」が23.5%で、合わせるとおよそ65%に達します(早稲田大学名誉教授・浦川道太郎氏調べ)。 ただ、墓じまいをしたくても「どうしていいのか分からない」「お寺とトラブルを起こしたくない」「今すぐでなくても良い」などの理由から、とりあえず先延ばしをしている方も多いと思われます。私のところにくる依頼では、「今すぐに墓じまいをしたい」あるいは「すでにお寺とトラブっている」ケースが少なくありません。 いくつかの代行業者に相談しても埒が明かず、最後の頼みの綱として私の会社のホームページに飛び込んでくる駆け込み案件が多いのが特徴と言えるかもしれません。 寺院とトラブりたくない墓じまい代行業者 私が墓じまいの代行業務を始めた2010年には、まだそれほど需要がなかったのでしょう、同業他社はほとんど存在していませんでした。それが今や、ネットで「墓じまい」と入力して検索するとかなりの数の業者がヒットします。散骨業者、大手石材店や仏具店などが参入して競争が激化しているのです。 共同墓地や公営墓地の墓じまいの代行は、経営主体が寺院でないので離檀の問題は起こりません。しかし、寺院墓地となると、離檀が必要となり、ホームページを見ると「(離檀料など)お寺との代行はお客様ご自身で行ってください」と目立たないように書いてあったりします。 弁護士など法律の専門家の場合も、なかなか踏み込んだ対応はしてくれない場合はがほとんどのようです。ある方(東京都、50代男性)は、市が開催する無料弁護士相談会に赴いて、墓じまいの相談をしたそうです。ズバリ、離檀料を払わずに墓じまいできるかどうか、もしできるなら正式なお仕事として依頼したいと。 この方は、自分の代で墓守がいなくなるのと、年間3万円ほどの付け届けを払い続けるのがバカバカしくなり、墓じまいを考えていたのです。ただ、寺が家の近くにあり、住職や住職の奥さんと顔を合わせることもあるので「できるだけ円満に、かつ離檀料を払わずに」というのが条件です。 弁護士の回答はこうです。「年間3万円なら10年間で30万円でしょ。今墓じまいをしたら離檀料はもっとかかりますよ。しばらくはこのままでいいのでは?」まるで答えになっていませんね。いきなりの白旗です。その弁護士さんにとって30万円は、はしたかもしれません。その感覚がすでにおかしいと思いませんか? 自営業・独身のこの方の年収は350万円、家のローンもまだ残っています。先々の老後資金を考えたら年間3万円=10年で30万円は「虎の子」です。弁護士の説明を聞いて仕方がないかと思いながらも、たまたま私の会社のホームページを見つけ、ダメもとでもいいから相談してみようとなったのです。
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