「岸田前総理」の応援演説に“公選法違反”疑惑…専門家は「“事前運動”と捉えられても仕方ない」と指摘
「市長選は星田弘司に」
実際にこの日の演説内容を確認してみると、つくば市長選に立候補を表明している星田 弘司前茨城県議をはじめ、地元の自民党関係者が続々と 「国光文乃をよろしくお願いします」「市長選は星田弘司に」 と熱弁をふるう。 そして満を持して岸田前首相にマイクがわたると、国光候補への応援の弁を述べるに続き、 「あわせて行われているつくば市の市長選挙においては、星田弘司さん。ぜひ、皆さんの力を、星田さんに集めていただきますよう、私からもお願い申し上げて、応援の弁といたします」 しまいには当の国光候補も「20日からは市長選と市議選があります。(中略)市長選は星田弘司、そして市議選もぜひぜひみなさん、多大なるご配慮をいただいて、ワンチームでこのつくばを、そして茨城を変えていこうではありませんか」と述べている。 「ここまで露骨な言い方であれば、公選法で禁じられている『事前運動』だと有権者にとらえられても仕方ありませんね」 そう指摘するのは、「裏金事件」のきっかけとなる刑事告発をした、政治資金や選挙制度などに詳しい神戸学院大学の上脇博之教授である。 「選挙を何度も経験している国会議員、まして前首相ともあれば、告示前の選挙運動が禁じられていることは“基礎知識”として染みついているはずですから、“ついうっかり”という話ではないでしょう。党として厳しい状況が続く中、ここで市長選の方もアピールをしておかなければという、県連の判断があったのでしょうか。『投票してください』という直接的な言葉を使わなければセーフだという認識なのかもしれませんが、衆院選の応援演説に続く形で『市長選も星田候補に』と具体的に明言していては、有権者は投票を呼びかけられていると感じるのは当然だと思います」 「このくらいなら大丈夫だろう」という考えがあったのだろうか。 岸田前首相と国光候補に見解を尋ねたが、両氏ともに回答はなかった。 上脇教授が呆れて言う。 「国民から厳しい目を向けられているからこそ、自民党にとって今は、一層の慎重さが求められる時であるはず。脇が甘いとしか言いようがありませんね……」
デイリー新潮編集部
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