【バスフィッシング界のレジェンド】人間・菊元俊文の魅力
ロクマルでは満足できない?!夢は世界記録更新
「ジグ番長」としての一面もある菊元さんだが、私の第一印象は「ビッグベイター」であった。ビッグベイト、中でもバラム300でモンスターバスを狙う菊元さんの印象のほうが強い。ディレクターとして初めて同行した奈良県池原ダム。2020年の出来事がそうさせているのかもしれない。 撮影初日は近畿地方の梅雨入りと重なり、大雨に。菊元さんはその中で56.5cmをキャッチしていた。2日目も雨を期待したが、時折晴れ間も見え始めた。天候を嘆く菊元さんであったが、担当初回で尻つぼみな展開も困ると、私も内心ドキドキしていた。 そのような状況の中、やってきたのは白川筋の白川大橋。橋脚から離れた場所でエンジンを切り、引き波の影響を与えないよう、ゆっくりと近づく。いつものルーティン。一投目、橋脚から十分なディスタンスを取り、上流に向かってビッグベイトをキャスト。これ以上ないというコースを通すが反応なし。つづく2投目。ビッグベイトのファストリトリーブにどこからともなくバスが現れ、ヒット!カメラにもそのバイトシーンがバッチリと映っていた。サイズは『BIG BITE』の番組記録更新となる63.5cm!まさしくモンスターバスをキャッチした瞬間であった。 これには大興奮の菊元さんであったが、撮影用のコメントを撮り終えたあと、釣りをすぐに再開。これには驚いた。撮影に慣れたプロの方々であれば、「昨日50アップ釣れたし、このロクマルで撮れ高十分!」と取材を終えるパターンもあるのだが、菊元さんはそんな素振りすらなかったのだ。むしろ、目標を世界記録更新にシフトチェンジし、ビッグベイトを投げ続けた。いや、もしかすると、最初から世界記録更新しか狙っていなかったのかもしれない。 撮影の際、地元のアングラーさんからボートをお借りし、撮影艇として操船してもらうことがある。そんな時、私に対して地元のアングラーさんがよくこんな言葉を発する。「菊元さんって、めちゃめちゃ釣り好きなんですね」。地元ではかなりの釣り好きで知られているはずの面々が、口を揃えて言うくらい、菊元さんは釣りがめちゃめちゃ好きで、釣りをめちゃめちゃ楽しんでいる。 それほどの情熱があるからこそ、今もなお、バスフィッシング界のトップを走り続けることができるのであろう。