「学校教育にとどまらない、無限の可能性を」スポーツ庁・室伏長官がオープンイノベーションを推進する理由
アスリートが学びやすい環境を整えるオープンイノベーションがあってもいい
宮田:ビジネスの世界で活躍するアスリートも少しずつ現れてくるようになりましたが、一方でまだまだ「アスリートはスポーツに集中すべきだ」という意見もあるのが現状です。アスリートのデュアルキャリアについて、考えを聞かせてください。 室伏:それはフェーズによりますよね。選手として集中しないといけない時期や時間はありますし、アスリートは1年・1カ月・1日といった限られた時間をどのように使うかを日々考えています。アスリートが行うビジネスについては、競技と相乗効果が生まれるとベストですよね。24時間ずっとトレーニングをするわけではないので、上手に時間を使ってほしい。大学ではスポーツサイエンスを学べる学部もありますし、アスリートが学びやすい環境を整えるようなオープンイノベーションがあってもいいですよね。シリコンバレーも企業だけでなく、大学も集まって積極的にオープンイノベーションを進めている印象です。 宮田:今回のスポーツイノベーションスタジオでは、企業さんと競技団体によるオープンイノベーションに挑戦しましたが、将来的に大学が入ってきても面白いですね。 室伏:オープンイノベーションには若い力が必要です。日本人の学生には控えめな子も多いですが、このような機会を活用して能力を引き出してあげられたら素敵だなと思います。 皆様のおかげでスポーツオープンイノベーションの推進事業は5年目を迎えることができましたが、スポーツには無限の可能性があると思っています。かつて学校教育としてのスポーツが主流だった日本も、プロスポーツやテクノロジーの流れの中で多様化が進んできています。スポーツ庁としては、スポーツの可能性を狭めることなく、皆さんにご協力いただきながらオープンイノベーションを推進していきたいと考えています。 <了>