サントリー「GREEN DA・KA・RA」の麦茶はなぜ売れる?スポーツドリンクの枠を超えたブランド戦略
ヒット商品はどのようにして生まれたのか? そこにあったストーリーは? さまざまな業界のヒットメーカーへのインタビューから、ヒットを生み出す方程式を解き明かす『ヒットのアルゴリズム』。 サントリー「GREEN DA・KA・RA」の麦茶はなぜ売れる?スポーツドリンクの枠を超えたブランド戦略 連載スタートとなる今回ご紹介するのは、飲料メーカー・サントリーを代表するブランドの1つ「グリーン ダ・カ・ラ(GREEN DA・KA・RA) 」。 前身スポーツドリンク「DAKARA」からイメージを刷新し、今年で12年目となるロングラン・ブランドです。長く愛されているだけではなく、誕生10周年目の2022年にはシリーズ過去最高実績を達成。 さらに従来のスポーツドリンクのみならず、麦茶やルイボスティーなど、ラインナップを広げながら、常にブランドの可能性を追求しています。まさに現在進行形で成長し続けるヒット商品。 今回、ブランドを手がけるサントリー食品インターナショナル株式会社のブランド開発事業部課長 井島隆信さんにインタビュー。「グリーンダ・カ・ラ」の誕生秘話やブランドをヒットに導いた方法論を伺いました。 「グリーンダ・カ・ラ」のヒットのアルゴリズム 時代のニーズに合わせてブランドを常にアップデートする 徹底したユーザー調査から「誰のための何なのか?」を追求する 「◯◯ユーザー」は存在しない。いち生活者の視点で捉えること 成長するブランドの秘訣は「愛着と共感」
時代の変化に向き合い、ブランドを刷新
カラダにうれしい素材を使った水分補給飲料「グリーンダ・カ・ラ」シリーズは、「やさしい麦茶」「やさしいルイボス」など約10アイテム(季節限定アイテムを含む)を展開。大人から子どもにまで愛飲される、サントリーを代表するブランドの1つです。 「グリーンダ・カ・ラ」の誕生を語るうえで外せないのが、前身ともいうべきカラダ・バランス飲料「DAKARA」の存在。まずは、この製品が生まれた背景とブランド刷新の理由を伺いました。 「グリーンダ・カ・ラ」のヒットのアルゴリズム(1) 時代のニーズに合わせてブランドを常にアップデートする 当時の一般的なスポーツドリンクは汗で失われたナトリウムを補給するものが主流でした。スポーツ時や風邪などの発熱時に飲むイメージですね。 でも、このジャンルに参入するなら、先行する商品をなぞっただけでは需要は生まれません。 そこで、弊社はナトリウムを「補給すること」ではなく「出すこと」に注目。取りすぎた脂肪分、糖分、塩分など、「余分なものを体から出したい人のための飲料」をコンセプトに定めました。 こうしてスポーツ時や発熱時など特定のシチュエーションに限らず、日常的に飲めるスポーツドリンク「DAKARA」が開発されたのです。 「DAKARA」は2000年の発売以来、売り上げを伸ばし、ピーク時には3000万ケースを売り上げる快挙を成し遂げます。 しかし世界規模の温暖化の影響で、夏季の熱中症が社会問題として表出。ナトリウムの欠乏も熱中症を引き起こすため、ナトリウムを含まないDAKARAの売り上げは徐々に下降していきます。 DAKARAは一定のご支持をいただきましたが、社会問題に向き合うためにも次のステージへ向かうべきときではないかと考えました。 そこで、適切にナトリウムの補給ができて、かつ既存の製品と一線を画すスポーツドリンクの開発に着手したのです。