サントリー「GREEN DA・KA・RA」の麦茶はなぜ売れる?スポーツドリンクの枠を超えたブランド戦略
誰のための何なのか? ターゲット&価値規定を明確に
既存製品との差別化を図るためにまず行なったのは、徹底的なヒアリングでした。「開発チームで仮説を立てつつも、すべての起点はお客様の声。お客様の意見が仮説を確信に変える」と井島さんは話します。 「グリーンダ・カ・ラ」のヒットのアルゴリズム(2) 徹底したユーザー調査から「誰のための何なのか?」を追求する 店頭購入者へ話を聞き、デプスインタビュー(1対1の面談による調査)を実施。ときには顧客のご家庭に訪問することもあったそうです。 すると、スポーツドリンクに対する「原材料が何かわからない」「人工甘味料が使われているものには抵抗がある」といった、ネガティブポイントが見えてきました。 商品開発時に大事にしているのは、その商品が「誰のための何なのか?」という価値規定です。ヒアリングで集めたお客様の声を元に、我々がつくるスポーツドリンクが誰にとってどんな価値を持つのかを熟考し、明確化しました。 導き出したキーワードは「カラダにうれしい」。 こうして「安心して子どもに与えられるくらい」体にやさしい素材でつくった水分補給飲料「グリーンダ・カ・ラ」が誕生しました。ターゲットを親子にしたのも狙いの1つですね。 しかし唯一無二のコンセプトゆえ、開発に至るまでには大きな難局もあったといいます。 果実や食塩などの体にやさしい素材だけで塩分も水分も補給できるようにするために、開発者は相当な苦労をしました。 お料理をされる方はピンとくるかと思いますが、無添加・自然由来のものだけで調理するよりも、人工的な調味料を使った方が美味しいことって、ありますよね(笑)。 それと同様に「美味しい」と「体にやさしい」を両立させるのが非常に難しい。でも、美味しくないものはお客様に飲んでいただけないので、そこは譲れません。もっとも苦労したのは機能と味のバランスでした。 こうした困難を乗り越え、「グリーンダ・カ・ラ」は2012年に発売されました。