サントリー「GREEN DA・KA・RA」の麦茶はなぜ売れる?スポーツドリンクの枠を超えたブランド戦略
ヒットへ導くのは「いち生活者の視点」
ブランド誕生10周年を迎えた2022年、「グリーンダ・カ・ラ」シリーズは過去最高実績に到達。その背景には「グリーンダ・カ・ラ やさしい麦茶」「グリーンダ・カ・ラ やさしいルイボス」の急成長が起因しています。 スポーツドリンクのブランドからお茶系飲料への展開は他に類をみませんが、そこにもヒットの法則が隠されていました。 「グリーンダ・カ・ラ」のヒットのアルゴリズム(3) 「◯◯ユーザー」は存在しない。いち生活者の視点で捉えること 「グリーンダ・カ・ラ」のターゲットを親子にした時点で、子どもを持つ親御さんから「麦茶をつくってほしい」とリクエストをいただいたのがはじまりでした。 商品を開発する時、どうしても担当している分野から「コーヒーユーザー」「緑茶ユーザー」といったカテゴリーで考えがちですが、「コーヒーだけ、緑茶だけしか飲まない」という方はいないはず。我々は◯○ユーザーではなく、いち生活者の視点をもっとも大事にしています。 我々のなかでは「グリーンダ・カ・ラ=スポーツドリンクのブランド」というカテゴライズをしておらず、ブランドコンセプトを体現することのほうが重要。そこで、お客様の「親子でゴクゴクと安心して飲める麦茶がほしい」という声に寄り添い、「グリーンダ・カ・ラ やさしい麦茶」を発売しました。 「グリーンダ・カ・ラ やさしい麦茶」は、いまや「グリーンダ・カ・ラ」ブランドを牽引する大黒柱に。 凝り固まった思考に捉われず、生活者の声を形にした「やさしい麦茶」が「グリーンダ・カ・ラ」ブランドの可能性を大きく広げたのです。
長く支持され続ける秘訣は「愛着」と「共感」
「グリーンダ・カ・ラ」が発売されてからおよそ13年(2024年1月時点)。長く愛され支持され続けるのは「美味しいから」「体にやさしいから」だけでなく、ブランドキャラクター「グリーンダカラちゃん」「やさしいマン」の存在もあってこそ。 「グリーンダ・カ・ラ」のヒットのアルゴリズム(4) 成長するブランドの秘訣は「愛着と共感」 「子どもに安心して与えられるくらい体にやさしい」ということを、どう伝えようか苦心しました。 キャラクターに据えた「グリーンダカラちゃん」は、子役などではない、当時3歳だった一般の女の子を起用。ある意味「冒険」とも言えましたが「自然とやさしい気持ちになれる」と良い反響をいただき、売り上げやブランドの認知度につながりました。 以降、10年以上キャラクターを務めた「グリーンダカラちゃん」。「成長していくダカラちゃんを親のように見守って下さった方も多いのではないでしょうか」と、井島さんは笑顔で話します。しかし多くの人に愛されるキャラクターゆえの課題もあったといいます。 子どもにもやさしいというイメージが定着した一方で、「子ども向けのドリンク」や「子どもに安心して与えられるくらい薄い飲み物」といった先入観を抱いてしまう方も。 グリーンダカラちゃんが定着させてくれたやさしいイメージの一方で、大人の方たちが「自分ごと化」できていないという次の課題が見えてきたのです。 そこで、2020年からキャラクターを草彅剛さんの「やさしいマン」に一新。30代以降の世代へのアプローチに成功し、2022年の過去最高実績につながったのです。 ヒット商品を生み出すことも難しいですが、長く愛され続けるのはもっと難しい。 美味しいものがたくさんあるなか、我々の商品を手に取ってくださるのは「愛着」や「共感」を感じていただいているからだと思っています。 「グリーンダ・カ・ラ」ブランドに共感し続けていただくために、我々はブランドを磨き続けます。これからも新商品やプロモーションでの新しい展開を見守っていただければ嬉しいですね。 「グリーンダ・カ・ラ」のヒットのアルゴリズム 時代のニーズに合わせてブランドを常にアップデートする 徹底したユーザー調査から「誰のための何なのか?」を追求する 「◯◯ユーザー」は存在しない。いち生活者の視点で捉えること 成長するブランドの秘訣は「愛着と共感」 Source: サントリーホールディングス株式会社/Photo:大崎えりや
石上直美