虎のソナタ 伝統の一戦はいつの時代もどんなときも 試合でも、ゴルフでも、時には選手の争奪戦でも
世の中と同様、わがサンスポも人手不足。「少数精鋭」という便利が言葉があるが、足りない時はどうしようもない。タイガース杯ゴルフ取材に駆り出されたのは、デスク・阿部祐亮だった。渦中の人、大山がホールアウトしてくるから、クラブハウスで待機していたら、カメラマン・水島啓輔が姿を見せた。 「大山のラウンドを撮影してたんやろ。ついでに、いろいろ話も聞いといてくれたか?」 阿部が何気なく話し掛けると-。 「話なんて、聞けるわけないじゃないですか。でも、シャフトがオレンジ色でしたよ」 ニヤリと笑いながら、水島が〝通報〟。さすが敏腕カメラマンだ。こういう発見が大事なのだ。ビックリ仰天のデスク・阿部の前を〝主人公〟が報告通りのスタイルで通り過ぎていった。 「いやぁ、まさかですよね。阪神電車が(巨人色の)オレンジだ!と株主総会で話題になる球団で、このタイミングで。福留(孝介)さんの自主トレを思い出しました。中日、メジャーを経て阪神に来た福留さんが、黄色のウインドブレーカーで練習を開始したんです。なぜ?と尋ねたら、『タイガースは黄色だろ!』と。大スターも阪神に敬意を表する姿が印象的なんで…」 何色を身に着けようと勝手だが、阿部が言うように「この時期」だ。 その昔、タイガースのオフは毎日のようにゴルフ三昧。MBS、ABC、カンテレ、読売テレビ、サンテレビ。全局に主催のゴルフ大会(後日、その模様が放送される)があった。 中でも毎年、盛り上がったのは読売テレビ主催の阪神巨人対抗ゴルフ。伝統の一戦がグリーン上でも繰り広げられ、シーズン以上(?)に熾烈な勝負が繰り広げられた。 ある年、某若手選手がオレンジ色のウエアで現れた。目ざとく発見したのは2代目ミスタータイガース村山実。 「なんちゅう色を着とるんや!」 苦笑いだったが「巨人の色を着るなんて」という意味が含まれているのは言うまでもない。言われた若手は直立不動。すぐに着替えていた。 「もうすぐ、新庄が真っ赤な服装で来ますよ。まずいですよね」