みずほがサウジ政府系ファンドと提携、年度内に共同でETF組成
(ブルームバーグ): みずほフィナンシャルグループ(FG)は、サウジアラビアの政府系ファンド(SWF)と業務提携し、同国株式に投資する上場投資信託(ETF)を組成する方針を固めた。長引く低金利で運用難が続く中、機関投資家向けに選択肢を充実させる狙い。
ブルームバーグが入手した社内資料をみずほFG広報担当の高橋直大氏が確認した。みずほFGとサウジ政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」は31日、ETF組成に向けた提携で基本合意した。合意には、みずほ銀行、みずほ証券、アセットマネジメントOneも参加。みずほ銀とPIFがアンカー投資家としてETFに初期資金を拠出する。
みずほ証は運用会社と市場の間に立ってETFと指数との連動性を確保する指定参加者を担う。ETFはインデックス連動とし、主に機関投資家がターゲットとなる。年度内の組成を目指し、将来的な東京証券取引所での上場も検討する。サウジの株式に投資するETFの設定はメガバンクグループで初めて。
PIFは総資産9300億ドル(約142兆1130億円)を保有し、新規投資316億ドルを実施した世界で最も活発なSWFの一つ。日本では任天堂やソフトバンク・ビジョン・ファンドの大口投資家として知られる。みずほFGとの提携を通じて、今後、サウジで日本株運用商品の提供を検討するなど資産運用分野での事業強化を目指す。
同国は人口3200万人の63%を30歳未満が占め、今後の人口増と経済成長が期待されている。国を挙げて「脱石油依存」に向けた国外からの投資呼び込みに力を入れており、日本では、SBIホールディングス傘下の運用会社がサウジ株を用いたETFを組成し、今月、東証から上場承認を受けた。
一方で、市場開放は西側諸国に比べて遅れており、外国人投資家の株式購入は9年前に解禁されたばかりだ。為替は1ドル=3.75リヤルの固定相場制。イスラエルとの国交正常化交渉もガザ地区の紛争で遅れており、地政学リスクをどう織り込むかも課題となる。