RB大宮アルディージャの目指すところ
【大西純一の真相・深層】J3からJ2に昇格する大宮のあらたな姿が見え始めた。9月にオーストリアの飲料会社レッドブルが全株式を取得し、オーストリアのザルツブルグやブラジルのブラガンチーの、米国のNYなど同社が経営するサッカーチームのグループに加わった。 既に12月9日に、1月1日付で社長に就任した原博実代表取締役や長澤徹監督、スタッフ数人がザルツブルグを視察した。練習場や育成の施設などを見学したが、中でもグループのチームの所属選手がケガをした際にリハビリするアスリートセンターには驚かされたという。 原氏によると、「馬小屋を改装してリラックスできるようにしていた」と、競技から離れた立地だが、内部には最新鋭の設備が整っているという。ニューヨークにも同様のものがあり、サッカーだけでなく、同社がサポートしているあらゆる競技の選手が使っている。もちろん、RB大宮の選手がケガをした場合もリハビリで使用できることになる。 さらに、選手のデータも驚かされたという。RB大宮が獲得しようとJリーグの選手をリストアップしても、レッドブル側からデータを基に「いや、こっちの選手の方がいいのでは」と、別の選手を勧められることもあるという。Jリーグの選手のデータも膨大で、レッドブルグループとしての基準も持っているという。試合の分析も視察したそうだが、これも将来はRB大宮でもノウハウを共有できれば大きな武器となる。 11月にはグループのフットボール関係のトップ、マリオ・ゴメス氏が来日して試合や練習場を視察したが、1月には新たに就任するクロップ氏も来日する予定で、本格的にレッドブルの一員としてスタートする。設備を整えるのは簡単ではないが、グループの基準に基づき、しかしRB大宮独自のやり方も尊重しながらクラブづくりが進むことになる。グループの他のチームと同様に攻撃的でわくわくするサッカーを目指し、育成にも力を入れていく――トップチームの強化だけでなく、育成や女子も今以上に力を入れる方針も示されているし、グループ内のチームとの選手やスタッフの交流も検討されているという。Jリーグに新しい風が吹き込むことになりそうだ。