眼腫瘍・目の周りの「がん」を眼科医が解説 悪性が疑われるできものの症状や治療法とは?
目にできものができたときの治療の流れを教えて 良性・悪性の眼腫瘍ではどんな治療・手術をするの?
編集部: 目のできものには、どんな治療法があるのですか? 中村先生: できものの種類によって異なります。先ほどの「麦粒腫」の場合は、抗菌薬などの薬物療法が選択されます。ほかにも、「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」は、内部に脂が溜まっているため、部分麻酔で切開して脂を取り除く手術を行うことがあります。 編集部: 手術が必要な場合もあるのですね? 中村先生: そうですね。がんではなくても、切開して内容物を出したり、できもの自体を切除したりする場合は手術となります。しかし、見た目を綺麗にするのが主な目的なので、どうしても手術しなければいけないというわけではありません。 編集部: 悪性の場合はどうですか? 中村先生: 悪性の場合は、早急に手術で切除します。その後、例えば転移がある場合は化学療法や放射線療法を併用したり、皮膚を大きく切除した場合はまぶたの再建手術を行ったりします。 また、眼球を摘出した場合には「義眼床」を作成し、義眼を挿入するという処置を行うこともあります。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。 中村先生: 目のできもので、最も多くみられるのが「ものもらい」です。感染症なので、基本的には心配はいらないのですが、「ものもらい」と診断されたとしても、急に大きくなったり、再発を繰り返したりしている場合などは、悪性腫瘍の可能性もあるので注意が必要です。 がんだった場合、発見が遅れると転移してしまいますので、一度「ものもらい」と診断されていても、繰り返す場合などは腫瘍を専門としている眼科医院を受診することをお勧めします。 目の腫瘍を専門としている医師・クリニックを探すのは大変かもしれませんが、「ものもらい」と診断され、切開したためにがん細胞が血管内に流出して全身に巡ってしまったケースも実際にあるのです。 もちろん稀なケースではありますが、医師の診断で「絶対」ということはありませんので、医師・クリニック選びは慎重に行なっていただければと思います。