アルファ・ロメオ初のSUV、完成まで「13年」も彷徨った苦難の開発 歴史アーカイブ
難産だった高性能SUV
アルファ・ロメオは最近、ポルシェ・カイエンなどに対抗する新型高級SUVを2027年頃に投入する計画を示した。 【写真】苦労に苦労を重ねて完成した "ドライバーズSUV" 【アルファ・ロメオ・ステルヴィオを写真で見る】 (24枚) 親会社であるステランティスの大型車向けプラットフォームをベースに開発し、これから米国市場での需要を喚起する上で極めて重要な存在となるだろう。これはおなじみの作戦であり、アルファ・ロメオは以前にも同じような大型SUV開発を経験している。 2003年のジュネーブ・モーターショーで、アルファ・ロメオは新型のコンセプトモデル「カマル(Kamal)」を発表した。BMW X5のライバルと位置づけられ、最高出力250psの名高いブッソV6エンジンを搭載したが、市販化の暁にはゼネラルモーターズから供給されるよりパワフルなユニットを実装する予定だった。 3つの電子制御トルセン式ディファレンシャルを用いた四輪駆動で、車高調整可能なエアサスペンションが装着されていた。 そのスタイリングはヴォルフガング・エッガー氏の監修によるもので、フロントはクーペの8C、リアはハッチバックの147に似ており、まるで人気モデルのベストアルバムのようだった。当時の報道では、カマルは2007年に生産開始予定で、147の後継モデルがベースになるとされた。 しかし、カマルの開発陣は資金不足に悩まされ、2年以上にわたって沈黙が続いた。 2005年8月までに、カマルはフィアット・スティーロのプラットフォームから、159ベースへと移行していた。 BMW X5への対抗馬からX3に近いものへと位置づけが変更され、発売は2006年に前倒しされた。 これはおそらく、急成長するクロスオーバー分野の需要とその莫大な利益率を利用し、当時の親会社フィアットに生じた推定48億ポンド(約9500億円)の財務上の亀裂を補うためだったのだろう。 その後、フィアットがアルファ・ロメオとマセラティを合併させた後(今年10月に行われたステランティスの経営陣刷新と似ている)、カマルはマセラティのクーバン(Kubang)と兄弟車として開発されることになった。