【バスケ】渡辺雄太が仲裁役、八村塁とホーバス監督の不仲修復へ熱弁15分 決別でなく対話解決を
バスケットボール男子日本代表の渡辺雄太(30=千葉ジェッツ)が28日、八村塁(26=レイカーズ)が日本協会(JBA)とトム・ホーバス監督(57)へ批判を繰り広げている騒動に言及した。 都内でBリーグのオールスター出場選手発表会見に出席後、自ら報道陣への説明の場を設定。15分半にわたり、確執の発端や自身の見解を述べた。昨季まで八村と同じ米プロのNBAで6季プレーした日本の大黒柱が、関係修復の“仲裁役”を買って出た。 ◇ ◇ ◇ 居ても立ってもいられなかった。渡辺が自ら説明の場を設け、“八村発言”について口を開いた。報道陣の質問に応じない形式ではあったが、6台のテレビカメラと取り囲む記者たちを前に整然と言葉を紡いだ。「僕も代表の一員として、責任を持って問題に向き合っていく」。15分半の語りに強い決意を込めた。 確執の発端は昨夏のW杯だった。48年ぶりの自力出場を決めたパリ五輪へ向け、ホーバス監督が「彼(八村)がやりたいなら、彼から声をかけてくるべき」と発言。これに八村が不信感を覚え、関係が悪化した。ただ渡辺によれば、代理人の意向で日本代表のコーチ陣と八村との連絡手段は遮断されており、指揮官の発言は「こちらから連絡をとれないから、塁から連絡をしてほしい」との意味だったという。両者が直接対話できず、真意が伝わらなかったことが根本的な原因だった。 渡辺はこれらの経緯を丁寧に説明すると、この日最も伝えたかったであろう思いを1つの言葉に集約させた。「悪者は1人もいない」。先月25日に続投が決まったホーバス監督について「日本代表のヘッドコーチとして誰よりもふさわしい」と支持。一方で批判を繰り返す八村へも「塁と対立する気はない」と連絡をとり、「僕もNBAでやっていく大変さを知っている。そこはリスペクトしてほしい」と敬意を示した。 異例の取材対応をとったのは、一刻も早い沈静化と日本バスケ界の発展を願うからこそだ。「トムや塁とコミュニケーションをとりながら、これからの日本代表を良くしていこうと思ってやっていく」。2人の仲裁役として、決別ではなく、対話による相互理解を目指している。【藤塚大輔】