こんにゃくでつくったマグロの味は──植物由来の「代替シーフード」が目指すもの
「まるで魚シリーズ」を販売するあづまフーズではさらに、絶滅が危惧されるうなぎの代替品も開発中だ。おからと豆腐を主原料に、かば焼きのタレも植物由来で味を再現したいという。 またスウェーデンやアメリカの食品会社も大豆由来の代替シーフードを提供している。2022年からはアメリカ・ブルーナル社が、細胞から培養したクロマグロの販売を開始する。この培養魚肉の分野でも、世界各国の開発競争が進んでいる。 こうして「選択肢を広げる」ことで、減少するばかりの水産資源に少しでも歯止めをかけることができるだろうか。たまにはこんにゃくを使ったマグロやサーモンを食べて、海の幸のありがたみを噛みしめてみるのもいいかもしれない。 --- 室橋裕和(むろはし・ひろかず) 1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイ・バンコクに10年在住。帰国後はアジア専門の記者・編集者として活動。取材テーマは「アジアに生きる日本人、日本に生きるアジア人」。現在は日本最大の多国籍タウン、新大久保に暮らす。おもな著書は『ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く』(辰巳出版)、『日本の異国 在日外国人の知られざる日常』(晶文社)、『バンコクドリーム 「Gダイアリー」編集部青春記』(イースト・プレス)、『おとなの青春旅行』(講談社現代新書、共編著)など。