こんにゃくでつくったマグロの味は──植物由来の「代替シーフード」が目指すもの
水産資源を守るための「選択肢」を増やせるか
こうした現状に対して、「ベジメニューという選択肢を増やしたい」と活動するのは、NPO法人ベジプロジェクトジャパン代表理事の川野陽子さん(33)。 「完全なベジタリアンやヴィーガンになるのはなかなか難しいですが、地球環境を考えて、選択肢があるならベジメニューも食べてみるという“フレキシタリアン”は増えていると思います」
川野さんも「まるで魚」シリーズを実食済みという。 「お刺し身にして醤油でいただきましたが、食感が本物によく似ていて“サカナ感”が楽しめるなって思いました」 ベジプロジェクトジャパンは、ベジタリアンやヴィーガン向け食品の認証を行う団体だ。原材料すべてに肉や魚由来のものが使われていないこと、開発時に動物実験が行われていないことなど、基準をクリアした製品に認証マークを発行。これまでカゴメやマルコメといった大手食品メーカーのものをはじめ500品目ほどの商品を認証してきた。 「実はコロナの自粛期間中に、植物由来の商品について問い合わせが多くなったんです。テレワークやステイホームで少し空いた時間に食生活を見直したり、環境問題について考えたりしてみる人が増えたようです」
そんな人々がふだんの生活の中で一食だけでも代替シーフードを食べれば、そのぶんだけ水産資源の保全に、わずかかもしれないが貢献することになる。 「少数の人が100%ベジタリアンやヴィーガンになるよりも、たくさんの人たちがちょっと歩み寄ってくれるほうが環境保護には効果的だと思うんです」 ヴィーガン専門店が無数にあって賑わう欧米に比べると、日本の取り組みはまだ始まったばかりだが、だからこそベジメニューにはビジネスとしての将来性も感じているという川野さん。 「外国人のライフスタイルだったものが、少しずつ日本人にも広がっています。日本でもマーケットは大きくなっていくと思いますが、いまはみんなで育てていく時期でしょうね」