ついにイスラエルが地上侵攻を開始...それでもレバノン軍が動かない理由
軍は唯一の中立的な組織
だが、これが実現するためには、ヒズボラが撤退に合意するか、敗北するか、あるいはイスラエルが方針を転換して停戦に合意するしかない。 今回の紛争で、レバノン軍がどのような行動を取るかは、おそらく今後のレバノン政治にも影響を与えるだろう。というのも、レバノン軍のジョゼフ・アウン最高司令官はマロン派で、次期大統領として反ヒズボラ派の間で最大の支持を集めているのだ。 カーネギー中東センター(レバノン)のシニアエディターであるマイケル・ヤングは9月28日、ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師が暗殺された今、レバノンの頼りは「まだ機能している唯一の国家機関である軍であり、ジョゼフ・アウンの(大統領)選出の動きが拡大するだろう」と、X(旧ツイッター)に投稿している。 「なぜかって? それは軍が国内の安定を維持する上で重要な役割を果たすとともに、(ヒズボラの影響が強い)南部の治安確保でも重要な役割を果たすからだ」 この1年間、イスラエルとヒズボラは互いに爆撃を続けてきたが、レバノン軍が応戦したのは1度だけと、軍は10月3日の声明で主張している。 「イスラエルがビントジュベイル(レバノン南部)のレバノン軍駐屯地を爆撃し、兵士1人が死亡」したため、「この駐屯地の人員が爆撃の起点に向けて応戦した」ときだ。 どうやら今回の紛争で、レバノン軍の直接関与につながるレッドライン(越えてはならない一線)は、レバノン軍の拠点への攻撃と、全面的なレバノン侵攻・占領のようだ。 ただ、イスラエルの激しい攻撃が、国家としてのレバノンのプライドを刺激するようなことになれば、どうなるかは分からない。 From Foreign Policy Magazine
アンチャル・ボーラ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)