仏サプライヤー「フォルヴィア」の最新技術は、一見、地味だが内容は濃かった
新発想で生まれたメーターパネルシステムは合理的だ
「フォルヴィア」は2024年5月22日から24日までパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2024」に出展。グループとして、「フォルシア」と「ヘラー(HELLA)」の2つのブランドから注目の最新技術を披露したので、その紹介をしよう。 【写真】フォルヴィアの最新技術の具体例を見る 「フォルヴィア」はフランスの自動車部品メーカー「フォルシア」が2022年1月に、「ヘラー」の株式を取得したことを機に誕生した世界第7位の自動車部品メーカーグループだ。このグループには2019年4月から、かつての「クラリオン」も傘下に入り、現在は商号を「フォルシアクラリオン・エレクトロニクス」として次世代車技術の開発を行っている。今回はその中から日本初公開となった二つの技術にスポットを当ててみた。 フォルシアの出展でもっとも目を引いたのが、新発想で生まれたメーターパネルシステム「スカイライン・イマーシブ・ディスプレイ」だ。これはフロントガラスとインストゥルメンタル・パネルが接する部分に配置されるピラートゥーピラー・ディスプレイで、メーターパネルとヘッドアップディスプレイの機能を合わせ持つ。これによって、ドライバーの視線移動を可能な限り減らし、より安全な運転体験の実現を目指している。 最大のポイントはディスプレイの表示方法にある。まずディスプレイは3つの表示パネルを組み合わせたものとなっており、それぞれの用途に応じて解像度を変えている。具体的にはドライバー前のディスプレイは高解像度な200ppiのTFTディスプレイとし、主に速度やADASなど重要な安全情報を表示する。一方でそれより重要度が下がるインフォテイメント情報は60ppiのミニLEDディスプレイ上に表示。それほど精密な表示は求められない環境照明や障害物警報などは12ppiのLEDライトタイルを使用するという具合だ。 これは目的に応じた最適な表示を実現することで、より直感的な理解につなげることを可能とし、同時に機能に見合ったディスプレイを組み合わせることでコスト低減を図ることができる。ヘッドアップディスプレイとの機能差について担当者は、「フロントウインドウ下に設置するため、ヘッドアップディスプレイのような厳しい法規制を受けず、コントラストもはるかに高く設定できるので視認性でも優位性がある」と説明した。 また、ユニークだったのが、ドライバーの感情をセンサーで読み取って、その状況をディスプレイ上に表示するというもの。たとえば、ドライバーがイライラしているのか、楽しんでいるのかを表示して、第三者的にドライバーの状態を評価する。つまり、人とシステムがコミュニケートすることで、より安全な運転につなげていくというわけだ。こうした機能が評価され、今年1月に米国ラスベガスで開催された「CES2024」では「イノベーションアワード」を獲得した。