「えっ、今年まとめて払うんじゃ?」世間話で発覚した譲渡所得の申告漏れ…数百万円の過少申告加算税+延滞利息に顔面蒼白「とにかく急いで!」爆速修正申告の顛末
無事に売却が決まった3カ所の土地
最初に売却したのは2カ所の山林で、地目のとおり、現地は雑木林です。すぐ隣は住宅ですが、武田さんは相続した状態のまま維持してきたのでした。 2カ所とも広く、整地・造成して区角割しなければ、一般の方には売れません。そのため、すべて建売業者に売却し、武田さんはそのお金で銀行の借り入れを返済しました。 さらには、納税猶予を受けている畑も売却することにしました。まず納税をすませ、その後に農業委員会の買取あっせんなどの手続きを経て、こちらも売却することができました。
売却のタイミングの差で、譲渡所得の申告が2年に及んだ結果…
2カ所の山林はその年のうちに契約が完了しました。3つ目の畑は、納税猶予を解除後の契約となりましたが、同じ会社が購入することとなり、翌年の契約・決済となりました。 このように、3カ所の土地を売却したわけですが、うち2カ所は「年内に契約・決済で、翌年に譲渡所得の申告」、3カ所目は「翌年の契約・決済で、翌々年の譲渡所得の申告」というふうに、2年に分けて申告することになりました。 武田さんは今回の申告について、親の代から付き合いがあり、毎年の確定申告のほか、両親の相続税の申告も依頼した税理士法人へ頼みたいと希望されたので、筆者は、説明書類を作成し、武田さんにも数回にわたって説明したのち、書類をお渡しし、この件は一旦、筆者の手を離れました。 その後時間が経過し、武田さんの3つ目の畑の譲渡所得の申告をすべき年になりました。筆者は武田さんのことをふと思い出し、なんとなく電話を入れてみました。 「ご無沙汰してます、お元気ですか?」 「あら先生、お久しぶり! その節はありがとうございました」 「お変わりありませんか?」 「おかげさまで!」 「譲渡所得の申告、2年続いて大変でしたね」 「え? 今年まとめて払うんじゃありませんでしたっけ…?」 「………!!!」 しばらく世間話をしていたところ、その話の流れのなかで、なんと昨年行うべき譲渡所得の申告・納税がされていないことが判明。税理士法人には山林の売却は伝えていたとのことですが、再確認しても、譲渡所得の申告はされていませんでした。 武田さんは、すべてが終わってからまとめて申告するものだと勘違いをされていましたが、税理士法人なら、契約書を確認すれば一目瞭然のはず…。武田さんによれば、担当者の方は経験が浅く、まだ不慣れな様子だとのこと。そんなことがあるのかと驚きつつ、筆者の事務所で再び引き取ることになりました。