ペットボトルのフタに描く風景 「私には絵しかない」体を壊し退職、たどり着いた〝3cm〟
「ボトルキャップアーティスト」としてSNSで発信する画家がいます。直径3cmほどのペットボトルのキャップをキャンバス代わりに、風景や食べ物などを描いて多くの人を驚かせる西倉ミトさん(@n_mito0813)。キャップに描き始めた背景には、体調を崩した過去やアート関係者からのアドバイスがありました。(withnews編集部・河原夏季) 【画像】2022年、初めてバズった作品 ペットボトルのフタに描く風景画
SNSで反響「素晴らしいアート」
紅葉や滝、桜が咲き誇る河川敷、夕日をバックにたたずむ鳥居……。いずれもリアルで繊細な描写ですが、作品が描かれているのは直径3cmほどのペットボトルのキャップです。 大阪府在住の西倉さん(28)は、主にSNSでキャップアートを発信してきました。 1月上旬にX(旧Twitter)に投稿した池の作品は、「素晴らしいアートに出会った」「壁に飾りたい」「小さなキャップの絵が大きなキャンパスの絵に見える」といったコメントが寄せられ、2万以上の「いいね」がつきました。 ”ペットボトルキャップに池を描きました” ーー西倉ミトさん(@n_mito0813)のXより
心身に限界、絵も描けない状況に
「幼いころから絵を描くことが好きで、美術の教師になりたかった」と話す西倉さん。芸術系の短大に進学してイラストレーションを学びました。 当時から学内の広報誌の表紙を飾るほどの腕前でしたが、卒業後はタオルデザイナーや医療系の事務職として勤務する傍ら、趣味で続ける程度だったといいます。 作家としての活動を始めたのは、2019年7月。インスタグラムでつながった作家の展示会に参加しました。 展示会に出したカッパの絵は好評で、「来場者アンケートが自信につながり、作家活動を始めようと思いました」と振り返ります。SNSで作品の発信も始めました。 一方で、「絵で食べていくことは簡単ではないので、副業にとどめるべき」とも考えていたそうです。 「何か人の役に立っていると実感できる仕事に就きたい」と選んだ医療系の仕事でしたが、コロナ禍に突入して状況が一変。多忙を極め、心身ともに限界がきてしまったといいます。 「ミスが許されない状況でストレスを貯めすぎてしまったのか、2021年に倒れてしまいました。ドクターストップがかかって仕事を辞めざるを得ず、絵も描けない、何もできないボロボロの時期でした」