東京ベイ新主将発表の場に不在だったマキシ新キャプテン 理由を聞いてほっこりさせられた
【ベテラン記者コラム】ラグビー・リーグワン1部の東京ベイが、10月5日に東京・江戸川区の施設「タワーホール船堀」で今季の方針発表記者会見を行った。新主将も発表され、日本代表NO・8ファウルア・マキシ(27)が選出された。 だが、晴れの場にマキシ本人は不在だった。当初は会見出席者の中に名前があったが、会見前日になって欠席することがアナウンスされた。 異例といえば異例だが、チーム関係者がマキシ不在のおわびとともに明かしてくれた欠席理由を聞くと、納得し、ほっこりさせられた。 マキシのお子さんが、まさに10月5日が誕生日。どうしても家族サービスをしたいとマキシから相談されたチームは、快く了承した。マキシ一家はとあるテーマパーク(有名な〝夢の国〟ではないらしい)へ出かけたという。 そのチーム関係者は、「いってみれば〝長期出張〟続きでしたからね」とマキシの心情をおもんばかった。リーグワンのレギュラーシーズンは5月初めに終了。東京ベイは6位に終わったため、その後のポストシーズンには進めなかったが、5月20日には長野・菅平で日本代表候補合宿が始まっており、マキシも参加している。6月6日からは宮崎市内で本格的な合宿を開始。夏のテストマッチシリーズの準備に突入した。マキシは6月22日のイングランド代表戦(国立競技場)からのテストマッチ7試合全てに先発。9月21日のパシフィックネーションズ杯決勝・フィジー戦までの3カ月にはカナダ遠征もあり、〝長期出張〟のたとえもうなずけた。 実はもう一人、SH藤原忍(25)も当初出席予定だったが、マキシと同じタイミングで欠席が明かされた。こちらも当日がお子さんの保育園での最後の運動会だったそうだ。藤原もテストマッチ6試合に出場(うち4戦に先発)とほぼ皆勤。「パパ」に戻る時間ができたことはよかった。 東京ベイの選手たちに「東京ベイってどんなチーム?」と聞いたとき、ほぼ必ず返ってくるのが「ファミリー」という言葉。フラン・ルディケ・ヘッドコーチ(HC)をはじめとする指導陣やスタッフも含めて温かく、お互いをリスペクトするチーム文化は、千葉・船橋市の練習場へ行けばいつも感じられる。2022年度のリーグワン初制覇は、そういう文化に醸成された「一体感」が支えとなったことは間違いない。 マキシはチームを通じて「主将を任命されたときは少し悩んだ」と、プレッシャーを感じたことを吐露している。ルディケHCは「規律を守り、一貫性もある。行動で示すタイプだが、チームの文化をドライブできる」と信頼する。これまで8シーズン、東京ベイを率いてきた34歳のベテランSO/CTB立川理道の後を継ぐ天理大の後輩は「背中で見せる」タイプ。その背中に、選手たちが迷いなくついていくことで、2季ぶりの頂点への道が開ける。(田中浩)