失職知事の出直し選挙は1勝1敗 勝ったのは「脱ダム宣言」の長野・田中康夫氏
兵庫県知事だった斎藤元彦氏(47)の失職に伴う知事選が31日、告示され、いずれも無所属の前職と新人の計7人が立候補を届け出た。斎藤氏のパワハラ疑惑などを告発した文書を巡って県政が混乱し、斎藤氏に対する不信任案が議会で可決、斎藤氏は失職して出直し選挙に臨む。知事に対する不信任案が議会で可決されたケースは過去4件あり、うち2件で失職した知事が再び立候補する出直し選挙となっている。 【一覧でみる】知事に対する不信任決議案可決の事例 平成14年、かねて「脱ダム宣言」を打ち上げていた長野県の田中康夫知事(当時)が県議会でダムの建設計画を中止すると表明。これに議会側が「独善的だ」と反発し、不信任決議案が出され、可決された。田中氏は失職を選んで出直し知事選に臨んだ。 知事選にはほかに5人が立候補。いずれも田中氏の県政運営手法を批判したが、大半が「脱ダム」を容認したことから、ダム問題は争点の中心から消えた。田中氏は自身が就任する前の県政を「密室政治」と訴え、それを支えてきた議会の批判を繰り広げる選挙戦を展開。無党派層の支持を取り込み、大差をつけて再選を果たした。 平成15年には、徳島県の大田正知事(当時)が、大型公共事業の見直しなどに反発した議会から不信任を受け、失職して出直し選挙に臨んだが、落選している。 不信任案が可決された残りの2人は、昭和51年の岐阜県・平野三郎知事と平成18年の宮崎県・安藤忠恕(ただひろ)知事(いずれも当時)。汚職や談合で刑事責任を問われる事態となっており、いずれも可決後に辞職し、知事選へは出馬しなかった。 過去の首長選では、今回の兵庫県知事選同様、リーダーの資質や人柄が焦点となったケースもある。 平成31年2月、兵庫県明石市の泉房穂市長(同)が、市幹部への暴言を巡って辞職。「有権者に判断を仰ぎたい」として翌月の出直し市長選に臨み、圧勝で3選を果たした。(古野英明)