「103万円の壁」めぐる国民・玉木代表の立ち回り…自民税調、妥協案で玉木氏の取り込み狙う
これに対し永田町では「玉木首相」誕生の可能性を指摘する声も出たが、玉木氏は「(野党に動きが出ても)乗らない。参院は自民、公明両党が過半数を持っており、それを踏まえて自民党が国民民主と政策協議をしようと決めてくれたのだから、これを動かしつつ、しっかり政策実現をしたい。今はポストではなく、政策実現が欲しい」と自民・公明両党との協議を最優先する立場を強調した。 その上で玉木氏は政策協議で妥協の可能性についても「(公約を)100%できるとは思っていない。ただ、手取りを増やすと訴え、(議席を)4倍にした以上は手取りを増やさないと駄目だ。(所得税負担が生じる)103万円の控除額を引き上げることは譲れない」とし、178万円という引き上げ額についても「まずは178万円。最初から発射台を下げる話はしない」と語った。
■自民税調は「50万円程度の引き上げ」を検討 一方、8日の政調会長レベルでの協議に先立ち、自民党税制調査会(宮沢洋一会長)は6日、党本部で「インナー」と呼ばれる幹部の非公式会合を開き、2025年度税制改正に向け、国民民主が求める「年収103万円の壁」の是正を含む議論を開始した。 宮沢氏は旧大蔵省出身で「税のスペシャリスト」(自民幹部)とされ、会合後、「出席者から社会保険料が発生する106万円や130万円の方が壁なんだろうとの話もあった」と説明した。その上で「(自公の)2党だけでは法律、税法が通らない。国会で可決できる案をつくるのは大変な作業だ」と協議の難しさを強調した。
さらに、関係者からは「178万円は無理だが、落とし所として50万円程度の引き上げは検討の余地がある」との妥協案も浮上しており、水面下での駆け引きが続いている。 ■野田氏より明快な玉木解説で高評価―外国特派員協会 そうした中、玉木氏は8日午前10時から外国特派員協会で記者会見し、内外の記者団からの質疑に応じた。 その中で、米大統領再登板が決まったトランプ次期大統領の関税政策による日本の経済政策への影響について見解を求められた玉木氏は、「経済がより過熱しインフレになりがち」と分析。
さらに、日銀の金融政策についても「実質賃金が安定的にプラスになるまでは変更すべきではない」と述べ、来春以降に利上げを先送りすべきとの見解を示した。 この会見はネットでも大きな反響を呼び、「頑張れタマキング!」などの激励コメントが相次いだ。
泉 宏 :政治ジャーナリスト