通常国会が大幅延長 国会の会期とは? 早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語
政府与党は現在開かれている通常国会の会期(6月24日まで)を95日間延長する方針を固め、22日の衆院本会議で議決されました。この「戦後最長」の大幅延長に野党が反発し、23日は衆参の審議がストップしました。そこで、国会の会期や会期延長とはどういうことか? 過去の会期延長の事例と合わせて考えてみます。 法案の「廃案」と「継続審議」ってどういうこと?
通常国会の延長は1回のみ
国会には通常国会(常会)、臨時国会(臨時会)、特別国会(特別会)の3種類があります。加えて衆議院が解散され、総選挙で新しい議員が決まり、国会が開けるようになる間、緊急の要件がある場合に内閣は参議院の緊急集会を求める場合があります。この緊急集会を除いて日本の国会は会期制を採っていて、その間に提出された法案は衆議院、参議院ともに可決されるか、両院の可否が別である場合に開かれる両院協議会で妥協案が成立するか、衆議院可決、参議院否決ないしは60日以内に議決しない場合に衆議院で3分の2の賛成を得て再可決するかのいずれかに該当しない限り、基本的にすべて廃案です。 したがって重要法案を何としても阻止したい野党(首相の味方以外)が数の上で劣勢であれば、何とか会期中に両院の採決まで持って行かせず廃案を狙います。首相は自らの内閣が提出した法案で何としても成立させたければ、会期そのものを延長して「時間切れ」廃案を防ぐのが一般的です。 なおこの原則の例外が「継続審議」で両院の過半数が賛成すれば次の国会に引き継げます。しかしその法案が両院いずれかで可決されていても、持ち越したら改めて審議をやり直さなければなりません。 通常国会の会期は150日、臨時国会と特別国会は1日で終えても構いません。通常国会は憲法で必ず年1回開くとされていて、1992年から1月に召集されます。臨時国会は内閣または両院いずれかの総議員の4分の1の要求で開かれます。特別国会は憲法ではなく国会法に定めがあり、衆議院議員総選挙後に開かれます。結果に関わりなく、総選挙後に内閣はいったん総辞職しなければならないため、特別国会の主な役割は首相指名選挙です。 なお、参議院で開かれる緊急集会には会期という概念はありません。 延長の回数は国会法に定めがあり、通常国会は1回、臨時国会と特別国会は2回です。決めるのは内閣で、端的にいってしまえば首相の判断となります。ただし、延長には国会での議決が必要です。