新広島駅ビル「平和」「川と海」がコンセプト 外観デザインに込められた秘話 落ち着いた配色で広島らしさを演出
広島駅の駅ビルは半年後の2025年春の開業を前に工事が大詰めを迎えている。新たな駅ビルのコンセプトは広島らしく「平和」「川と海」などだが、コンセプトを象徴するデザインには、緻密な計算と手の込んだ作業が隠されていた。その「秘話」に迫る。 【画像】広島新駅ビル デザイン秘話
広島の玄関口のシンボルとして
2020年に当時の駅ビル「ASSE」が半世紀以上の歴史に幕を下ろし、その後、建て替え工事が進められてきた広島駅の新たな駅ビルは2025年春のオープンまで半年となった。 コンセプトは「品格とシンボル性」「平和」「川と海」の3つ。「品格とシンボル性」についてJR西日本 広島駅ビル工事所・田原潤一副所長は、「白の装いで品格を保ったうえで、多くの人が出入りする部分はゲートのように門型にした。開けたところにシンボリックなものを集中させて広島らしさを出した」と説明する。
低層で横に広い構造に
広島の陸の玄関口としていかに「マチと交わらせるか」、そして50年、100年という「長い年月に耐えられる魅力をつくりだせるか」がキーポイントだという。 加藤アナウンサー: 博多駅や新大阪駅と比べると、ややおとなしめのイメージですが… 東畑建築事務所 設計室 安岡寛治部長: 旧駅ビルは高さがあまり高くなかった。そういう駅前の佇(たたず)まいを継承していく計画。 JR西日本 広島駅ビル工事所 田原潤一副所長: 面積だけ確保するのであれば、タワーで大きく、細くつくる選択肢もあったが、これまでの駅としての顔、駅としての流れを考えて、低層棟の横に広いボリューム感を出すようにした ほかのターミナル駅のように、高層ビルを建て、目立たせる考えはなかったようだ。
「平和」を「折り紙」のイメージで表現
2つめのコンセプト「平和」は、どのように表現されているのだろうか? 駅ビル正面の青で囲った部分が「平和」を意識したデザインだ。このデザインがどのように生まれたかというと…。 JR西日本 広島駅ビル工事所 田原潤一副所長: 設計するときに、実際に折り紙で折れる形を外壁に使おうと考えた 駅ビルの完成図に折り紙のデザインを重ねてみた。 加藤アナウンサー: こうなるんですね!ここはこういうイメージ JR西日本 広島駅ビル工事所 田原潤一副所長: ほぼ一緒です。こうやって“折り”のモチーフを建物に入れ込みました。 さらに、取り出したのは、関係者でデザインを検討するために作ったという実物大の模型。 加藤アナウンサー: やろうと思えば半分でも3分の1のサイズでも色味などは分かると思いますが… 大林組建築設計部 山田隆司担当部長: 検討、確認をするのが建築のプロばかりなら、小さい模型でもいいが、プロ以外のいろいろな方に確認してもらうのなら、1分の1がわかりやすい。これだけたくさんの1分の1の模型をつくったプロジェクトはなかなかない