高さ11cm超小型人工衛星が完成、宇宙で次世代太陽電池を実証へ 関西大や福井大など開発
関西大や福井大などでつくる研究チームは6月25日、宇宙空間で次世代の太陽電池などを実証するため開発していた超小型人工衛星が完成したと発表した。福井大とセーレン(本社福井県福井市)が技術者育成の教材として共同開発した学習用衛星がベースになっており、組み立てなども同大の教育プログラムの一環で行った。同大は今回の成果を生かし、県内企業の宇宙産業参入などを後押しする仕組みづくりにつなげたいとしている。 プロジェクトの中心となった両大学の研究者らが大阪府内などで会見。9月に米国で打ち上げられるロケットで国際宇宙ステーションに運び、10月に宇宙空間に放出する計画を説明した。 完成した超小型人工衛星「DENDEN(デンデン)―01」は、本体が縦横約10センチ、高さ約11センチ、重さ約1・3キロ。2022年に開発が本格化し、関西大の研究者らが福井大が県の委託で展開する教育プログラム「人工衛星設計基礎論」を受講。プログラムの実習講座として、県内企業の技術者らとともに「DENDEN」を製作した。 福井大などの学習用衛星「EDIT(エディット)」をベースに、実証用機材を追加搭載するなど改良した。EDITには既に宇宙空間での性能などが実証されたデータ処理装置などが組み込まれており、同大の青柳賢英特命准教授は「単なる教材キットではなく、重量や構造など衛星の核となるシステムが宇宙空間放出に必要な規格に適合している」と説明。「衛星の仕組みや操作方法などはそのままなので、スピーディーな開発が可能だった」と強調した。 青柳特命准教授は今回の開発をモデルケースとして、企業など向けに「受講者が学習用衛星を使い、そのまま人工衛星のプロジェクトを始められるサービスの提供などを展開していきたい」と意欲を示す。さまざまなニーズに対応できるようEDITの強度や性能を高めた新型の開発などを進めるという。 「DENDEN」は、軽く折り曲げ可能な次世代の「ペロブスカイト太陽電池」を搭載。蓄熱材で宇宙空間の温度変化に対応する新たな電源装置を含め、約1年かけて耐久性などを確認する予定。
福井新聞社