ビバホーム、防犯用品の売り上げ2倍に 闇バイトが住宅狙う強盗事件、埼玉などで相次いで発生…需要が急増 特に売れ筋は「窓の防犯フィルム」センサー式ライトや遠隔操作の防犯カメラなども
埼玉を含む首都圏を中心に、闇バイトで実行犯を集める匿名・流動型犯罪グループ(匿流)による強盗事件が相次いで発生している。犯罪学や防犯の専門家は防犯対策について、住宅設備などのハード面だけではなく、意識などのソフト面との多面的な対策が必要と指摘している。 県内では9月18日と今月1日、さいたま市西区と所沢市で住宅が狙われる強盗事件が発生した。いずれも未明の時間帯に、実行役の男らが住宅の勝手口を破壊して侵入し、家人に暴行し緊縛した上で現金などを奪う荒っぽい手口。実行役のほか、被害品のクレジットカードから現金を引き出そうとしたなどとして、県警などは既に15人を逮捕している。 男らの多くは交流サイト(SNS)上で高収入をうたった闇バイトに応募。指示役からSNS経由で秘匿性の高い通信アプリへ誘導され、身分証を提示した上で犯行に加担していた。 元県警捜査1課の佐々木成三さんは、類似の強盗事件が多発する背景を「同一の指示役の下、実行犯が集合離散を繰り返している」と考察する。所沢の事件現場の住宅は、「窓やシャッターは全て閉められ、勝手口は強化ガラスが付いているなど防犯意識が高い。ガラスを破るのにかなり時間を要するし、音も出る」と分析。「犯罪の常習者であれば狙わない。大きな音を出すのに危険を感じないのは素人の手口」と見解を述べた。
◇ では、実際にどのような対策が効果的なのか。防犯資機材の専門家で県防犯設備協会の山田智典会長は、住宅の防犯用品について、分厚い防犯フィルムや窓が割れる振動や音に反応するセンサー、防犯砂利など、場所に応じた使い分けを提案した上で、「ただ対策をするだけでなく、外見で誰が見ても『この家は防犯意識が高い』と思わせることが大切」と話す。犯行の下見対策として「間取りや家族構成は話さない。できるだけインターホン越しに話すことが重要」と強調する。 犯罪学が専門の立正大学の小宮信夫教授は闇バイトによる犯行がまん延する背景に「かつては血縁や地縁での犯罪が主流だったが、今では電脳空間を拠点とする『電縁』に移り変わった」と解説する。事前に情報を得た上での「ピンポイント強盗」が主流とし、「一般の人は自分の情報について非常に無防備。不審なメールや電話に対して重要な情報を教えてしまい、犯罪グループ間などで売買されてしまう。情報を金庫に入れるつもりで適切に管理するなど、警察も市民も電縁に焦点を合わせた防犯対策を行わなければならない」と警鐘を鳴らした。
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