【10年ひと昔の新車】ミニバン初のHV、日産 セレナはどのように進化したのか
エンジンの停止時間をより延ばす制御に変更
「ハイブリッド」と呼べるものにもピンからキリまであるが、Sハイブリッドはエンジンを止めてEV走行ができるとか、エンジンとモーターの出力がミックスされて強力にダッシュするといったシーンはない。あくまで走行はエンジンが主体で、条件が整った際にモーターの出力が若干上乗せされるのだが、体感するほどではない。 ただし、アイドリングストップする頻度が上がり、またストップした際に、より長い時間ストップするようになっているとのこと。これは新旧を厳密に比べないと感じにくい部分。しかも試乗時の気温は摂氏34度前後という状況で、エアコンをフル稼働させていた。アイドリングをストップするにはかなり厳しい条件だったため、残念ながら今回はエンジンが停止する頻度や時間が明らかに増えたという差は実感できなかった。 パワートレーン系は、さらなる燃費向上に向けて、従来よりも変速比の制御が若干ワイドに振られている。つまり走り出しの加速性を上げ、速度が乗るとハイギアードにして燃費を稼ぐという設定。このおかげで加速フィールはよりリニアになった。ちなみに車両重量は、カタログ値で30kg増となっている。 それ以外の変更点では、サスペンションのセッティングには変更はないが、タイヤは銘柄が変わり、指定空気圧が少し高められた。これによりやや当たりに硬さが見受けられたものの、全体としては定評あるセレナの乗り心地を損なうものではない。 一方、オーテックが手がけたライダー パフォーマンススペックには専用の足まわりが与えられているが、こちらも乗り心地を損なわない中で、ロールを抑えた、一体感のある走りを身に着けている。高速巡航時の落ち着きもよい。走りにこだわるユーザーには、こちらをオススメしたい。
日産 セレナ ハイウェイスターG Sハイブリッド 主要諸元
●全長×全幅×全高:4770×1735×1865mm ●ホイールベース:2860mm ●車両重量:1600kg ●エンジン:直4 DOHC+モーター ●総排気量:1394cc ●最高出力:108kW(147ps)/5600rpm ●最大トルク:210Nm(21.4㎏m)/4400rpm ●モーター最高出力:1.8kW(2.4ps) ●モーター最大トルク:53.6Nm(5.5kgm) ●トランスミッション:CVT ●駆動方式:横置きFF ●燃料・タンク容量:レギュラー・60L ●JC08モード燃費:15.2km/L ●タイヤサイズ:195/60R16 ●当時の車両価格(税込):279万9300円
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