オードリー・タンは生活にも「/」を入れる...「スラッシュワーカー」になる方法、超える方法
本業以外の時間を作ることのメリット
自分のための時間を作ることは、現在の仕事にもメリットがある。今の時代、どんな仕事をするにもジャンルを超えた「クロスオーバー思考」が求められるようになっている。スラッシュ生活で得た経験は、本業でも意外な発想や気づきのもとになるかもしれない。 オードリーがスペインのNGOに参加しているのは、EUやOECDとのつながりがあるからだ。台湾はこれらの組織の会員ではないため、「行政院のデジタル発展相」という立場では活動に関わることができない。しかし、NGOのメンバーという立場でなら参加できる。これは最大のメリットだ。 本業の仕事がすっかり嫌になって、ある日突然行方をくらましたり、世界一周の旅に出てしまったりする人がいる。だが、長い間カゴのなかに閉じ込められていて、急に扉が開いたらどうなるか。たいていの人は世界の広さに驚き、どこへ行くべきか見当もつかない。世界一周の旅に出たとしても、帰ってきたあと、次の一歩の踏みだし方がわからない。 こんなとき、本業以外のコミュニティで作り上げた人脈があれば、休職しようと退職して旅に出ようと、自分を受け入れてくれる場所は必ずあると信じられる。行くところがあると思えば、迷って呆然とすることもない。 趣味の追求や人脈の拡大のために20パーセントの時間を確保していれば、仕事を辞めたとき、それが60パーセントに増えたり、次の仕事につながったりすることもありえる。これまでの仕事の価値が損なわれるわけではなく、同じ価値を生むために進む方向が少し変わっただけなのだ。