なぜ日本で「代理出産」が認められないのか? 不妊と向き合う夫婦が選択できる家族のカタチ
「育ての親」制度
まず、「里親(特に、養育里親)制度」というものがあります。 これは、夫婦が、未成熟な子どもを預かって(原則的に18歳までです)、親に代わって一時的または継続的に養育するというものです。 親が生まれた子どもを育てられなかったりすると、場合によって児童養護施設で育てられることになりますが、より家族(親子)に近い環境で育てるためのしくみです。 預かる期間は、基本的には、実親の元で暮らすことができるようになるまでとされていますが、期間はまちまちで、長い場合は成人になるまで続くケースもあります。 里親になることで、法律上の親子関係が生まれるわけではありませんが、「育ての親」になるのです。里親になるための年齢制限は(上限・下限とも)とくにありません。里親登録をすることで、児童相談所などからの委託によっておこなわれています。
「養子縁組」という家族のカタチ
さらに、もうひとつ。民法には、「血がつながっていなくても親子関係を認める制度」があります。それが、「養子縁組」という制度です。キミコさんも、養子縁組という選択肢を教えてもらったようですね。 とくに日本では、これまで、血がつながっていなくても法律によって結びついた親子関係は、重要な役割を果たしてきました。 日本で昔から多くの割合を占める養子は、婿養子を中心として、家の承継や親の扶養を目的とする「普通養子縁組」です。 しかしそれと並んで、実の親から養育してもらうことがむずかしい未成年の子どもを対象とした、「特別養子縁組制度」があります。家のための養子縁組ではなく、子どもの福祉のための養子縁組ということですね。 特別養子縁組は、生みの親との親子関係を消滅させて、新たに特別養子縁組を結ぶ親とのあいだに親子関係を成立させるものです。 特別養子縁組を一度したら、普通養子縁組とは異なり、基本的に離縁は認められません。一生親子のままです。つまり、強い親子関係がつくられるということです。 特別養子縁組を仲介する機関としては、行政機関である児童相談所や民間団体があります。 たとえ自分で産むことがむずかしくても、子どもをもち、育てる選択肢は存在しています。
遠藤研一郎