なぜ日本で「代理出産」が認められないのか? 不妊と向き合う夫婦が選択できる家族のカタチ
なんで代理出産を認めていないの?
「じゃあ、さっさと代理出産を正面から認める法律をつくればいいんじゃないの?」と思うかもしれません。 でも、いまでも、代理出産に全然問題がないわけではないといわれています。いったい何が問題なんでしょうか? いろんな理由が挙げられますが、とくに、女性を「子どもを産むための道具」にしていないか、という点に疑問をもつ意見が多いです。 そもそも、代理出産の契約をするときには、依頼する方も依頼を受ける方も、どちらも納得しておこないます。当事者が合意しているんだから、一見すると何も問題ないようにも思いますよね。 でも、全体を見渡したとき、代理母を申し出る人の多くは貧困層であり、依頼者の多くは富裕層なのです(代理出産を試みる場合、一般的に、日本円で数百万円から数千万円の費用がかかります)。その立場が統計的に逆転することはありません。 それでも自由な意思による約束といえるのか、という疑問がつきまといます。代理出産は、女性の人権にかかわる問題なんです。 また、代理出産は、ときに複雑な関係をもたらす危険があるともいわれています。 たとえば、代理母が急に、生まれてきた赤ちゃんに愛着が湧いて、「赤ちゃんを手放したくない!」といい出したら? 最初からルールを決めておけばすむ話でしょうか。 また、生まれてきた赤ちゃんに障がいが見つかり、依頼者が受け取りを拒否したら? トラブルのなかで生まれてくる子どもを愛してくれる人はだれなのでしょうか。 子どもの福祉を考えたときに、代理出産は、必要以上に複雑な家族関係をつくり出してしまう可能性があるのです。 では、不妊と向き合う夫婦のために、法律は無力なんでしょうか? ここでの分岐点は、その夫婦にとって、「血のつながり」「遺伝子のつながり」がどれだけ重要か、ということです。 みなさんにとって、親子で血がつながっていることは、譲れない一線ですか? もし、絶対に重要というわけではないのであれば、さらにいくつかの選択肢があります。ちょっと見てみましょう。