株式投資のプロが全世界株式「オルカン」を“解約”した納得の理由 未来を見据えた「積み立て投資」の最適解とは
バックミラーに映る風景に投資するようなもの
先に白状すると、私自身は「S&P500派」です。私は昨年10月、これまで投資をしてきたオルカンを「解約しました」という動画をYouTubeに上げました。その動画は約40万回も視聴され、改めて“オルカン”というキーワードへの関心の高さに驚きました。 世の中には株式投資について語るのみの専門家も多くいます。私は米国株投資を解説するのと同時に、ここ数年間、実際に自己資金でいくつかの投資信託に積み立て投資を行い、そのパフォーマンスを毎月YouTubeで解説してきました。 その中で「オルカンをやめた」と報告した動画が物議を醸すこととなったのです。 では、なぜ、私がオルカンの投資をやめたかの説明をします。 誤解のないよう申し上げておきますと、オルカンは、世界47カ国のおよそ2800銘柄という非常によく分散された、投資初心者の資金運用の「最初の一歩」として、ケチのつけようのない素晴らしい金融商品だと思っています。 ただ私は、他の投資信託の組み合わせにより、「オルカンより高いリターンを得ることが可能なのでは」と考えたのです。 「MSCIオールカントリー指数」が投資する国の配分は、「これまで世界で起きた結果」であり、バックミラーに映る風景に投資するようなものなのではないか。私にはそう思えるためです。 そこで私は、「株式投資は将来起きることを織り込みにいく」という原点に立ち戻って、今後長期にわたって、より高いリターンが得られそうな国や業種の配分を再考しました。
オルカンの新興国への配分は1割程度しかない
日本は2008年の1億2808万人で人口のピークに達しました。その後は人口減少が続いており、2050年台には1億人を切るだろうというのが国連の予想です。 一方で、これから人口が増えていくのが新興国ですが、例外として米国は移民を受け入れることで、これからも人口が増え続けると見られています。同じ国連の予想によれば、米国は2050年の時点でもインド、中国と共に、世界の人口トップ3の地位を維持する予想なのです。 経済の規模をみても、これから高い経済成長率が予想される新興国と並び、米国もやはり、中国、インドと世界3大経済大国であり続けるという見通しです。 そうするとまず、米国株への投資は押さえておくべきでしょう。具体的には、米国を代表する大企業500社で構成される「S&P500指数」の投資信託は保有しておきたいところです。 その米国では、誰もが名前を聞いたことのある、エヌビディア、アップル、アマゾン、マイクロソフトなど、イノベーションを産む大企業が多く存在します。こうした企業の成長の流れはこれからも止まらないだろうと考えています。 その視点で考えると、米国を代表するテクノロジー企業が過半数を占める「ナスダック100指数」に連動する投資信託も押さえておくべきでしょう。S&P500と重なる銘柄も多いのですが、それは成長率の高い銘柄の配分を高くするという意味では、理に適っています。 また、これからの時代において、高い経済成長率を維持し、国民の中間層が増えて消費の拡大が期待できるのは新興国です。インドや中国に代表される新興国に重きを置いた投資をしたほうが、長期的には高い投資リターンが得られると考えました。 実はオルカンは、新興国への配分は1割程度しかありません。ちなみに私の戦略では、新興国への配分を高める一方、アメリカを除く先進国への配分はゼロになるため、必然的に日本株指数への投資もしないことになります。
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